株式会社藤田ワークス
この世にまだ存在しないものを開発すべく、パートナーと協力して作り上げる。
その実現を助けたのが簡単に使えるURロボット
01 事例概要
高精度精密板金のリーディングカンパニーである株式会社 藤田ワークスは、職人の熟練度に左右されないTIG溶接を実現したいと考え、自動化を検討していました。システムインテグレータと試行錯誤を重ねた結果、若手社員でも高品質なTIG溶接を実現するURロボットソリューションを開発。さらに、金属プレス加工機へのワークの投入作業も自動化し、作業効率の改善や作業員の身体的負担の軽減、満足度の向上を実現しました。
02 導入前の課題
職人技が必要とされる溶接技術。中でもTIG溶接は難易度が高く、技術者により仕上がりが変わると言われています。熟練作業者と産業用ロボットで溶接を行っていた藤田ワークスは、将来の人材不足を見据え、職人の熟練度に左右されないTIG溶接を実現したい、と考えました。
Video — 株式会社藤田ワークス
03 ソリューション
溶接工程を仮付けと本付けに分け、仮付けを作業員が、本付けをロボットが行えばよいのでは、とのアイディアを温めていた藤田ワークスCEO代表取締役社長の藤田 幸二氏。2018年にドイツで開催された板金工作機械の展示会「ユーロブレッヒ(EUROBRECH)」を訪れ、多数のURロボットを目にしたことがシステム開発の契機となりました。同行していた板金加工機械専門商社のファブエースがURロボットを使ったシステム構築を提案、システムインテグレータのクフウシャも交えた3社でTIG溶接向けシステムの開発を行うことになったのです。
UR5を使った試作機は、作業員にはプログラミング画面が煩雑でわかりにくかったため改善が必要でした。
「要望を受けプラグインして簡単に使えるUR+製品のように、この溶接システム用のURCapソフトウェアを開発しました。これによりお客様から『感動的な使いやすさ』とのご評価をいただけるようになりました」(クフウシャ 代表取締役 大西威一郎氏)
URCapにより、従来5分かかっていた入力作業の手間が1分に短縮されました。溶接作業者としては2年目のWeReevoグループ サブリーダー 脇田恵美氏は語ります。「ダイレクトティーチングで自分の思うところに溶接トーチを動かすことができたので、とても簡単でした。手作業の場合、固定しているつもりでもやはりブレが出てしまいますが、ロボットなら作業の開始点と終了点をセットすればあとはまっすぐ溶接してくれるので、出来栄えが違います」
ロボットが溶接作業している間、他の作業に取り組めることも利点の一つです。ロボットの導入で、従来は習得に3年以上かかっていた溶接作業が、数か月で習得可能となりました。
藤田ワークスが次に着手したのは金属の曲げ工程です。金属プレスブレーキへのワークの投入にUR5を2台導入しました。URがワークを投入するとプレスブレーキが曲げ加工を行い、加工後のワークはエアシリンダで取り出します。「従来は2人掛かりで1日に1,000回以上もワークを投入していたので、疲れてくるとタイミングがずれることもありましたが、ロボットは一定速度で作業するので、効率が上がりました。金型の近くに手を入れる必要がなくなったことで安全性も改善されています」(デンカイグループ、宮澤巳代史氏)必要作業員の数を1人に減らせたことで余剰人員は他の工程を担当できるようになり、工場全体での生産性の向上にも寄与しています。
自動化計画を統括したプロダクトゼネラルマネージャ 髙佐 春夫氏は語ります。「今後も単純作業はロボット化したいと考えています。例えば溶接工程には現在20名の作業員がいるのですが、1人1台ずつロボットを使って加工させることも構想しています」
CEO 代表取締役社長の藤田 幸二氏は語ります。「こういう装置があったらいい、と思ったら、メーカーやパートナーと協業します。現在、世の中にないものを協力して作り上げるのです。URロボットに我々の金属加工のノウハウを吹き込むことで、誰もが使いやすいロボットシステムを作り上げてゆきます」
- 熟練作業者に頼っていた溶接工程を自動化。従来2-3年かかっていた習得期間を数か月に短縮し、作業効率も向上
- 2名体制だったプレスブレーキへのワークの投入作業を自動化。1名で担当できるようになり、作業効率と、作業環境の安全性が向上
- 将来の人手不足をロボット導入により解消
- 安全柵が不要
- プログラミングが容易で、ダイレクトティーチングにより思うように動かせる
- 溶接(TIG溶接)
- マシンテンディング(金属プレスブレーキへのワークの投入)
採用されたロボット
UR5 1台 : TIG溶接
UR5 2台: 金属プレスブレーキへのワークの投入
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