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熟練作業者の手の感覚をURロボットで再現
熟練の作業者の経験と勘を自動化することで、高品質な製品の安定供給に成功
01 概要
全世界の自動車の50%に自動車駆動系部品を提供している英GKN社傘下にあるGKNドライブラインジャパン株式会社は、慢性的な人手不足に直面する中でロボットによる自動化を検討していました。高品質な製品を安定供給する上では、従来の機械だと作業者の持つ経験や勘を自動化する難しさや、安全性の懸念などがありましたが、URロボットでそれらの課題を解決できることから導入を決定しました。
02 課題
これまで同社の製品を支えてきた熟練した作業者が高齢化するに伴い、慢性的に人手不足に悩まされていました。「当初専用機の導入を検討したのですが、人の手と同じように、組み立ての際のゆるい、きつい、入りやすいなどの感覚を再現するのが非常に難しいという課題がありました。」とePOWERTRAIN製造課班長の坂巻 伸行氏は語ります。
また、ePOWERTRAIN製造課係長 大山 三男氏は「昔のロボットですと、安全のためにロボットの周りには柵をつくって人間が立ち入れないようにする必要があり、無駄なスペースが生まれてしまいます」と、従来のロボットの課題を指摘します。
Video — GKNドライブラインジャパン株式会社、日本
03 ソリューション
作業者の高度な経験や勘を自動化しつつ、安全性を保ちながら人間とロボットが共存できるソリューションを探す中で、それらを解決できるURロボットの導入を決定しました。ePOWERTRAIN 生産技術部主管の吉田 英史氏は語ります。「URロボットを選ぶ決め手となったのは、日系大手クルマメーカーでの実績があると知ったことです。可搬重量も弊社のニーズにミートしていました」
まず最初にギアの組み立て工程にUR5を一台導入し、作業者の持つ人の手の感覚をロボットで再現しました。「UR+製品から選んだ外付けのトルクセンサーとRobotiq社のグリッパを使い、2か月ほど試行錯誤を繰り返した結果再現することに成功しました」(坂巻氏)。安全性も考慮しており、例えばゾーンセンサーをロボットの4方向に設置することで、人が近接する時はロボットの動きを低速にするなどの工夫をしています。
次に導入したのは、ビスカスカップリングと呼ばれる部品の中に組み込む、薄い鉄板の表裏判定工程です。ギアの組立工程自動化の成功を見ていた作業者の提案で、ロボットの導入が決定されました。「もともと古い機械での表裏判定は行なっていましたが、それだけでは生産量に対して間に合わず、1日が終わって疲れている作業者に残業をお願いして手で判定を行なっていました」と大山氏は語ります。
この工程にもUR5を2台を導入することで、「結果として、24時間フル稼働で月に60万枚の生産能力を生み出すことに成功しました。私たち作業者の疲労も減り、また自分たちの提案から自動化が実現できてとても嬉しいです」と製造課班長 菊元 智宏氏は語ります。
これまでの産業用ロボットとは異なり、URロボットは安全柵のスペースも必要なく人間とロボットが同じスペースで働くことができるため、安全性を担保したまま省スペースも実現しています。
UR ロボットの導入にあたり、坂巻氏、菊元氏をはじめとする計7名が、販売代理店カンタム・ウシカタ株式会社が行ったURロボットのコアトレーニングを受講しました。「今後は社内の他部門の人にもデモ専用機を触ってもらい、他の生産工程への応用も検討しています。英国系企業であるGKN社では、世界の各拠点が競い合って新しいことに挑戦し、成功体験を共有する、という文化があります。今回の導入事例も日本から各国へ発信できる好例となりました。これからも、ロボットと人間の協働による自動化に積極的に取り組んでいきます」(ePOWERTRAIN 生産技術部主管の吉田 英史氏)
“結果として、24時間フル稼働で月に60万枚の生産能力を生み出すことに成功しました。私たち作業者の疲労も減り、また自分たちの提案から自動化が実現できてとても嬉しいです”
GKNドライブラインジャパン株式会社について
自動車駆動系部品を開発製造する英国GKN社の傘下のメーカーです。系列の垣根なく、世界のおよそ90%のクルマメーカーに製品を供給しています。
- 熟練作業者の手の感覚をロボットで再現
- 疲れた作業者を残業から解放
- 24時間稼働を実現
- 複数の工程でロボットの自動化を応用
- 日系大手クルマメーカーでの導入実績
- 配置に柔軟性がある
- 省スペース設計
- 安全柵なしに設置できる
- ギアの嵌合(かんごう)
- ビスカスカップリング内プレートの表裏判定
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