デンマークのサイモン・コレラップ産業ビジネス金融担当大臣は、2020年2月4日(デンマーク時間)、デンマークのロボット産業を牽引するモバイル インダストリアル ロボット社(以下、MiR社)とユニバーサルロボット(以下、UR)にとって新たな本拠地となる施設の建設を発表しました。両社は、デンマークのロボット関連企業や大学の集積地となっているオーデンセ市に、32,000 m2におよぶ「コボットハブ」を設立し、共有します。
米国テラダイン社(Teradyne Inc.)の子会社であるMiR社とURは、デンマーク オーデンセ市の50,000 m2の用地を取得しました。両社は、3,600万ドルを投資し、世界の「コボットキャピタル」と呼ばれるオーデンセにコボットハブを建設します。協働ロボット(Collaborative Robot、コボット)は、現在、インダストリアルオートメーションの中で最も急成長している分野です。協働ロボットはセットアップが迅速にでき、従来に比べてプログラミングが簡単なロボットで、安全柵を置かずに作業員と緊密に協働作業が出来るため、作業環境を改善するとともに生産性を向上させることができます。
この新たなコボットハブは、MiR社とURそれぞれが確立した業界におけるリーダーシップをさらに強化するというテラダイン社のミッションを加速させるものです。
テラダイン社の社長兼CEOのMark Jagiela(マーク・ジャギーラ)は次のように述べています。
「MiR社とURは、『あらゆる規模の企業で自動化を実現する』という協働ロボットの革命において世界をリードしています。テラダインは、新製品やソリューション、販売チャネルの開発に積極的に投資を続けており、この新たな合同拠点は当社の成長戦略において重要な役割を担うものです。デンマークの革新的な工業デザインと実用的なビジネスセンスのコンビネーションは、新興市場であるコボット産業において完璧な組み合わせとなりました。ロボットをユーザーフレンドリーな形で人間と協働させることを世界で初めて実現したこの地で、我々の開発・生産能力をさらに拡大できることを、非常に嬉しく思っています」
テラダイン社がデンマークでロボット開発に向けて投資したのは今回が初めてではありません。現在、同社はデンマークの新興ロボット企業2社に5億米ドル以上を投資しており、どちらも急速に成長しています。
新しいコボットハブのイメージ
さらなる雇用拡大を期待
建設用地は、新しいコボットハブの一部にもなるURの現在の本社に近いオーデンセの工業地区にあります。MiR社とURは独立した企業としてそれぞれの事業を継続しつつ、今後さらなる躍進の一翼を担う優秀な人材の確保を目指し魅力的な環境づくりに取り組みます。
MiR社 CEOのThomas Visti(トーマス・ヴィスティ)は次のように述べています。
「デンマークは協働ロボットの世界市場を大きくリードしています。オーデンセで世界最大のコボットハブを構築するために積極的に投資することは、当然のことと言えます。我々は、優れた設備を備えたプロフェッショナルな環境を提供することで、世界中から人材を惹きつけことができると考えています」
MiR社は過去1年間に100人、URは過去2年間で280の新入社員を採用しました。現在、両社の従業員数はデンマークにそれぞれ160人、450人です。URは世界中で約700人の従業員を雇用し、MiR社のスタッフは世界中で約220人を数えます。
デンマークのユニークな人材基盤
URの社長であるJürgen von Hollen(ユルゲン・フォン・ホーレン)は、コボット市場の大きな可能性について次のように述べています。
「ABIリサーチによると、協働ロボット市場は2030年に約120億ドル規模に成長すると予想されています。需要の拡大は、URとMiR社の双方がオーデンセの現在のオフィスから規模を拡大し、新たな開発・生産拠点を建設することからも明らかです。オーデンセには強力な人材のエコシステムがあります。過去10年間に私たちが築いてきたユニークなロボットを取り巻く環境に、長期的に投資する機会を得ることができて嬉しく思います」
躍進するデンマークのロボット関連企業・大学の集積地 オーデンセ
デンマークのロボット産業は現在活況を呈しています。業界団体オーデンセ・ロボティクスの2019年の年次調査によると、デンマークのロボット企業で働く人は8,500人で、そのうち3,900人はデンマーク第3の都市オーデンセとその周辺で働いています。デンマークの分析企業であるDamvad社によると、業界が成長予測に沿って拡大すれば、デンマークのロボット業界は2025年に25,000人の従業員を雇用することとなると予測しています。
そして、成長しているのは従業員の数だけではありません。デンマークのロボット企業の総収益は2018年に18%増加し、輸出が26%増加して9億9,500万ドルに達しました。わずか15年前デンマークにはロボット産業がなかったことを鑑みると、これらの数字は、特に重要な意味を持ちます。