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製造、梱包、研究など分野を問わず、協働ロボット導入の効果は多くの場合、組織のどのレベルにとっても非常に明白です。学習曲線が上がっていく過程や、不具合を起こしたロボットが容易にオンラインに復帰する様子もまた明らかに目に見えます。プログラミングとメンテナンスの容易さが組織にとって利点であることは当然ですが、それがなぜ重要なのかもう少し詳しく見てみましょう。
その1:投資の回収
これがおそらく最も明快な理由でしょう。新たにロボットを導入するとき、実装に時間がかかれば初期費用もたちまち増大します。必要が生じて1台のロボットを別の目的に転用するだけでも、新しい用途を設定するたびに時間がかかります。この時間を最短に抑えることができればプラットフォームが柔軟になるうえ、投資回収期間も短くなります。
ロボット使用経験ゼロだったアリゾナ州フェニックスの家族経営企業Zippertubing Company社。今ではスナップ留め機械向けテンディングの視覚誘導アプリケーションにURロボットを導入。
その2:キャパシティ/能力
業務の規模やロボット導入の目的によっては、1人だけが担当して選択肢を検討したりすべてを計画したりするのが適切とは限りません。導入やモニターに必要とされる技術のハードルを下げれば、自動化された作業をしていた従業員本人が、ロボットを導入する側に立つことも可能になります。このように、プログラムが簡単なシステムなら労働力の拡大にもつながるのです。
その3:従業員の意欲向上
製造業で退屈な汚れ仕事や危険な作業を担当する人材はなかなか見つからなくなっています。かつてない低失業率は経済全体にとってはもちろん良いことでしょうが、仕事をいろいろ選べるなかで重労働を選ぶ人は少なく、オペレーターを求めているメーカーにしてみれば難しい状況です。学習曲線が緩やかな自動化プラットフォームなら、従来のラインポジションの見直しもかなり小さな追加投資で可能です。技術水準の低い作業員を戦略的に配置し直せば組織強化につながるだけでなく、作業員の技術も上がり、その職務の付加価値増大に応じて昇給も可能になり、従業員の満足度は上がります。従業員はスキルや専門性を得て仕事に対する満足度が向上する、そして雇用者である組織は競争力を上げてターンオーバーを下げられるという、ウィン・ウィンの関係ができるのです。
テキサス州ダラスにあるAll Axis Machining社では従業員に、基本的なプログラミングとセットアップをオンラインでインタラクティブに無料で学べるURアカデミーを受講させました。「以前は、ある年配の従業員にとても力の要る研磨作業をさせていました」と語るAll Axis Machiningのオーナー、ゲイリ・カズミン氏。あるときカズミン氏が目を止めると、その従業員が自分だけで、コボットのティーチペンダントを手に部品研磨のプログラミングをしていたのです。「従業員が新しい技術を学んでいる姿を見てとても誇らしく思いました。コボットは彼に力を与えてくれたうえ、彼の生き方や収入も充実させてくれるでしょう」
その4:ダウンタイムとリカバリー
時間がたてばどんな先進的なシステムでもいつかはトラブルシューティングやデバッグ、修理が必要になります。こうしたダウンタイムによって生じる製造のロスは投資回収とスループットにはマイナスになり、技術者のストレスといった目に見えない不利益の元になることも多々あります。プラットフォームそのものが容易かつ速やかに使えることは大切ですが、エンドユーザーが必要とした時に頼ることができるしっかりとしたサポート制度があることも重要です。
その5:機会費用
時間と資源には限りがあるため、プロジェクトでは導入やサービスの間にも機会費用が生じます。プログラミングやサポートが利用しやすければ機会費用を最小に抑え、プロジェクトの投資回収率をより高めることが可能です。
その6:所有コスト
プログラミングとメンテナンスの研修費用には、受講者1人あたり数日、数千ドルがかかることも珍しくありません。直感的にプログラムでき扱い方も簡単なプラットフォームならこうしたランプアップタイムを最短に、もしくはゼロにすることも、そしてシステムの所有コスト総額を大幅に削減することも可能です。
テキサスの航空機部品整備会社Aircraft Tooling社のスタッフは驚きました。URロボットが、高温や過酷な環境に耐え金属粉末やプラズマ溶射作業をこなしたからです。URのコボットは導入後3年間、故障も修理の必要もなく働き続けています。
どうすればこうしたメリットを実現できる?
学習曲線(獲得)に挑戦する方法の1つは、プログラミングが容易にできるよう設計されたシステムに投資すること。システムによっては、ロボットアームにティーチングインターフェースを組み込むことでこれを実現しています。プログラマーは、パネルのボタンを押して通過点を設定できます。
Universal Robotsのプラットフォームで使われるインターフェースPolyScopeの根幹にある考え方は「簡易なプログラミング」です。プログラミングの基礎知識はあれば必ず製造で役立ちますが、URのトレーニングは平均で1日半という短いものです。なお余力がある人にはもっと複雑な使い方を学ぶ機会もあります。UR+エコシステムでは、ロボットに簡単に統合できることが保証されているUR認定周辺機器(グリッパー、ビジョン、ソフトウェアその他)を取り揃えています。メンテナンスが簡単なことも優先事項。オペレーションはメンテナンスフリーで、ジョイントモジュールの交換は簡単だから、ダウンタイムを削減できます。
Universal Robots UR5のジョイント交換チュートリアル
それ以外の方法
使いやすいプラットフォームを採用しない場合は、社内にロボティクスチームを作りノウハウを蓄積して他の大手産業ロボットブランドを採用する、つまり社内インテグレーションチームも作る、という方法があります。この方法だと、最初の導入時に一定の人材を確保しトレーニングやリソースに投資する必要がありますが、チームの学習曲線が上がっていくのでその後のプロジェクトにかける時間は少なくてすみます。社内でのイノベーションとノウハウ蓄積は競争力強化につながるでしょう。新製品が定期的に市場に送られるような業界では、能力を迅速に上げられるからです。
社内チームの育成ができないなら第三者にサポートやインテグレーションの支援を頼むという手もあります。こうした専門家に作業を外注すればリソースを配分し直したり、今必要な製造ニーズから手を離したりせずにすみます。ただし代わりにNRE(ノン・リカーリング・エンジニアリング)コストが必要となり、その分がマークアップに乗ることになります。
まとめ
協働ロボットの導入は刺激的な仕事です。またプログラムの容易さや、サポートの受けやすさが望ましいことは明らかです。設置が速やかでダウンタイムを短縮できるという明らかなメリットの他にも、投資回収率の向上や、機会費用およびダウンタイムの削減など、扱いが簡単なシステムは他にもたくさんの恩恵をメーカーや従業員にもたらしてくれるのです。