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ロボットによる自動化を目指す場合、しっかりとしたビジネスケース(投資実行の根拠)を構築することが重要です。
多くの企業では、ロボットの費用を従業員の月給で割り回収期間を計算した数値に基づいてROI(Return on Investment: 投資回収率)を計算しています。しかし、このようなやり方でROIを計算した場合、ロボットによる自動化の総合的な価値、およびそれが企業にもたらす影響は計算できません。
より正確に計算するには、まず初期コストを計算し、自動化への投資から得られる短期的・長期的な有形無形のメリットも考慮に入れる必要があります。
ビジネスケースを構築する際の重要な検討事項
ビジネスケースを構築する際には、以下の要素を必ず計算に入れてください。そうすることで、最適なロボットを決めることができます。
ロボットへの総投資額
協働ロボットを導入して自動化を行う場合、従来型の産業用ロボットを導入する場合と比較して、ロボットへの総投資額はどのようになるでしょう?
ロボットへの総投資額を計算するには、初期投資額に加えて、システムに付帯する機器類や生産ラインへの組み込みにかかる追加費用も考慮する必要があります。
将来のメンテナンス費用や、生産のニーズが変化した場合にそのロボットを社内で簡単に配置転換できるかを検討してください。従来型の産業用ロボットの導入を考えている場合は、工場のレイアウトの変更が必要かどうかも検討してください。
工場のレイアウト変更は、企業にとって多大なコストになる可能性があります。設備の更新や置換に関連するコスト、機能の追加・拡張費用も計算に入れる必要があります。
協働ロボットを導入すれば、使用方法が簡単で、多くの用途に柔軟に対応し、わずかな設置面積で、簡単にプログラミングを行うことができるうえ、ソフトウェアのアップデートやロボットの保守を社内で行うことができるため、システム構築のコストを最小限に抑えることが可能です。
従業員関連の費用
協業ロボットの導入は、従業員の健康、安心、安全に何をもたらすでしょう?
生産ラインの特定の工程を自動化した場合、作業環境がより安全となり人体への負担が低減されます。このことで、従業員の身体への負担という見えざる損失や、健康・医療・保険関連の費用をどれほど削減することが可能になるでしょうか?
人体への負担を低減し、従業員と一緒に安全かつ効果的に働く能力を備えた協働ロボットを採用すれば、自動化は、とりわけ従業員の安全確保の面で効果があります。
手作業の工程に関連した労働安全衛生(OH&S)の問題、とりわけ筋骨格系障害(MSD)と呼ばれる職業性疾患は非常によく見られる問題です。協働ロボットを生産ラインに組み込んだ場合、従業員は単純な反復作業から解放され、より付加価値の高い業務に取り組むことができ、労働安全衛生の問題を大幅に低減することができます。
また従業員には、ロボットの技術を学習する機会や、新しいスキルを身につける機会が与えられ、従業員自身の将来そして会社自体の成長の双方に寄与します。
米国のボストンにあるTegra Medical社では、協働ロボットを使用したことで生産高が倍増したうえに、従業員はより付加価値の高い業務に取り組めるようになりました。
協働ロボットによる自動化を行った場合、従業員の採用や教育の費用はどれくらい節約できるでしょう?
協働ロボットは、誰でも簡単にセットアップ、プログラミング及びその修正ができ、生産ラインに組み込むことができる機能を備えています。よって、ロボットの設置や保守のために専門の技術者を雇用する必要はありません。協働ロボットを使用した自動化は簡単で、時間がかからず、セットアップの間に生産を長時間中断させてしまうこともありません。すなわち、従業員の採用や教育にかかる費用と時間を節約することができます。
効率の向上
このような生産性の向上は、企業にとってどのような意味があるでしょう?
現在行われている反復的な手作業の工程の数は、どのくらいあるでしょう? これらの作業は何時間、何週間、あるいは何日間行われていますか? 何人の従業員でこの作業を行っていますか? これらの工程をロボットで自動化するだけで、従業員の健康と安全を継続的に守ることができ、従業員と会社の双方にとっての利益となるのです。ロボットによる自動化を導入することで、健康、安心、安全を従業員にもたらすことができ、また従業員は、さらにやりがいのある他の仕事やプロジェクトに多くの時間を割くことができるようになります。
ロボットがこのような反復作業を1日24時間続けられれば、製品を工場からお客様の元に届けるまでの時間を短縮することもできるでしょう。すでに効率的に生産が行われているのであれば、追加の作業ができるようになるかもしれません。このような改善によって、お客様からの需要が高まり、その結果、従業員の雇用を増やすことができます。
デンマークのTrelleborg Sealing Solutions社は、42台のURロボットを導入して自動化を行った結果、競争力が高まり、50人の従業員を新たに雇用することができました。
安定した生産
ロボットによる自動化が行われると、どのくらいの原材料を節約できるでしょう? 製品の生産高はどのくらい増えるでしょう? お客様からの信頼や愛着が高まることは、ビジネスにとってどのような意味を持つでしょう?
不安定な生産ラインで品質が低い製品が生産されてしまう場合、原材料が無駄になり、不良品の発生率が高くなります。そうなると、必然的にお客様は離れて行きます。お客様は、注文するたびに必ず、均一して品質が高い製品が届けられることを期待しています。
協働ロボットを使用すれば、その自動化技術により均一して品質が高い製品が生産されるようになり、無駄になる原材料を大幅に削減することができます。また、従業員がより多くの成果を上げられるようになり、会社の成長にも寄与します。
不安定な生産ラインがあるのでしたら、現状のまま従業員がこのラインの作業に従事する場合と、協働ロボットを使用して自動化する場合の長所と短所を書き出してみてください。
こうして収集した要素をすべて考慮に入れて、ロボットによる自動化がもたらす短期的・長期的な価値をしっかりと把握することは、時間をかけて行う価値があることです。
貴社を成長、発展させ、持続可能性と競争力を高めるための投資ですから、詳細な分析を行う必要があります。詳しくは、お近くのUniversal Robotsパートナーにお問い合わせください。
米国ミネアポリスのInjection molder Dynamic Groupは、URロボットを使用して生産高を4倍に高め、わずか2カ月というROIを達成しました。
定義
弊社ではビジネスケースを構築する際、ROIはロボットへの投資の根拠を示すための単語として用られ、一般的に用いられる「投資コストの回収に要する回収期間」とは異なる意味合いとなります。
弊社でいうROIは、ロボット化で企業にもたらされる有形無形の利益、および短・長期両面での企業への影響を考慮に入れている算出されるため、一般的に用いられる「賃金との相殺によって単純計算される投資コスト回収期間」という意味でのROIよりも、常に短いものになります。