生産ラインにURロボットを使ったパレタイジングソリューションを導入するか考える際は、投資回収期間を計算して投資の可否を決めることが極めて重要です。そこでユニバーサルロボットの協働ロボットを使ったパレタイジングを検討中のみなさんのために、この計算での最も重要なポイントをまとめました。パレタイジングロボットがあまりにも短期間で元が取れることに驚かれることでしょう。
この記事ではURパレタイジングロボットへの投資に関連する費用の詳細と、一般的な工程の場合の予測ROIを紹介します。
シミュレーションを入手して自社プロジェクトを検証してみましょう
協働ロボットが自社のパレタイジングの工程に合うか、検証することが大切です。工程には単純なものもあるでしょうし、製品の重量やサイクルタイム、パレットの高さ、パレットのパターン、1つの生産ラインで複数の製品を扱う、といった可変要素によって複雑な場合もあるでしょう。
幸いなことに解決策があります。協働ロボットが自社に合うかどうか、シミュレーションを使えばかなり正しく判断できることがわかっています。最もユーザーの多いシミュレーションツールはURロボットもサポートしています。それにはトレーニングが必要だったり、ツールが高額だったりする場合もあります。ただし、必ずそうとも限りません。
UR+パートナーである Rocketfarm社では、顧客のパレタイジング工程に応じたシミュレーションを行っています。顧客が入力した内容に基づいてシミュレーションの動画を作り、さらに別のUR+パートナーRoboDK社のソフトウェアに URシミュレータを統合して、(顧客企業が導入した場合の)ロボットの実際の動きを提示します。現在このサービスはURの新プラットフォーム「UR+ Application Kit」での同社の Advanced Palletizing Application kit発売を記念して、2020年6月末まで無料で提供中です。
自社でのROIを計算するには
コンポーネントの価格
ロボットパレタイザは、ロボット、グリッパー、パレタイジング用ソフト、センサー(1個または複数)、ベースフレームからなる基本コンポーネントで構成されています。最もシンプルな形ならロボットを除いて約1万〜1万2000ユーロ(1万1000〜1万3000ドル)で質の高いコンポーネントキットが見つかります。
ロボットの価格はニーズによって異なりますが、リーチや可搬重量といった点でパレタイジングに最も適したUR協働ロボット「UR10 CB3シリーズ」のうちUR16eまでを価格表で参照するとよいでしょう。
エンジニアリング費用
コンポーネント価格の比較は容易かもしれませんが、エンジニアリング費用の比較は最初は複雑に思えるかもしれません。工程についての知識がより多く求められることがあるからです。エンジニアリング費用は大きく3つのカテゴリーに分けて考えることができます。
- 設置費用はプロジェクトごとに異なりますが、 UR+のパレタイジングキットならコンポーネントもセットアップも既にテストを経て認証済みなので不測の事態を回避できます。パレタイジングキットの設置は経験豊富な自動化エンジニアが通常1日で終わらせます。
- 安全性評価: URロボットは作業員の隣で安全に作動することが確認されています。しかしいかなる産業システムであっても、しかるべき基準や認証、規制に合わせて安全性を評価することが必要です。大半のメーカーは社内で対応可能でしょうが、そうでない場合は通常、URエコシステム内のインテグレータがこのサービスを単独で、または製品サービス全体の一部として提供します。
- プログラミングと再プログラミング: パレタイジングロボットを選ぶとき見落としがちですが、大きく差がつくのがここです。URロボットにはいずれもパレタイジングプログラムが付属しています。このプログラムで大抵のパレタイジング工程に十分対応できますが、専用のパレタイジングソフトを検討すべき場合も多数あります。 1つの生産ラインで複数の製品を扱っている、または新製品に合わせて頻繁に更新がある(またはその両方)、求めるパレタイジングパターンが複雑、サイクルタイム内にロボットが1つの動作で複数の箱をピックしなければならないといった場合、こんなときはいずれも、Rocketfarmの Pallyのようなパレタイジング専用ソフトで自動処理ができます。
もし興味があれば、Pallyを使ったURパレタイジングロボットをプログラムする、webベースのPallet Builderを試してみることもできます。パレットの積み付けができる頃には、パレタイジングをするロボットのプログラミングも完了しています!
トレーニング:
- オペレータのトレーニング費用と使いやすさは相関関係にあります。オペレータは原則として通常操作時にはパレタイザをスタート/停止ができるでしょう。しかし緊急停止や停電などで予期せずロボットが止まってしまったら、そこから作業を再開させなければなりません。操作が簡単なシステムを導入して、オペレータ向け半日トレーニングの予算を組みましょう。
生産現場の再編成
- ロボットパレタイザを導入するには生産現場のレイアウト変更が必要になることもあります。協働ロボットは標準的なロボットに比べ設置面積がはるかに小さいという大きなメリットがあります。われわれの経験では、URロボットをベースにしたパレタイザで生産ラインの大きな変更を要した例はほとんどありません。
設置中のダウンタイム:
- 生産ライン停止には費用がかかったり、計画が大変だったりということもあります。しかしURのパレタイジングロボットなら、設置中のダウンタイム回避も、基本的な計画をたてれば簡単です。このロボットの持つ協働性のおかげで操作と設置作業が生産ラインの一端で同時に行えるからです。
シフト数
- ロボットはシフトをいくつこなせるでしょうか? 24時間年中無休? それとも9時から5時まで? 通常、協働ロボットのパレタイザにはパレット交換や操作の監督などのためにオペレータを1人付ける必要があります。そのため「オペレータの最後の1人」をなくすのは「最後から2人目」をなくすよりもお金がかかります。パレタイザ周辺の操作をすべて自動化しなければならないからです。
ロボットの耐久性
- ロボットは動くパーツを搭載した機械です。使い方に応じ、時間が経てば劣化していきます。ロボットをスムーズに作動させて劣化を防ぎ、耐用年数を上げるため専用パレタイジングソフトを使ったと仮定した場合、耐久時間は3万5000時間、すなわち24時間年中無休で働いて約4年間になるとURは保証しています。注意を払えばロボットの耐用年数は簡単に伸ばせるのです。
オペレーションの費用
- URロボットには年契約サービスを付けることを推奨します。またバキュームグリッパーの発泡体を時々交換するのもよいでしょう。この作業は社内でできる場合もありますが、ベンダーにサービス契約として委託することも可能です。
- 光熱費については、UR10はプログラム実行中に約0.35kWを消費します。耐用年数が3万5000時間なので合計で1万2250kW/hになります。アメリカのkw/hあたりの平均価格は13セント弱なので、計算すると約1600ドル(1430ユーロ)となります。
雇用し直しに伴う費用
- ロボットは雇用者に対し極めて忠実です。メーカーにとって、パレタイジングのような反復作業を担う人材の確保はますます困難なものになっています。今は影響がなくても、URパレタイジングロボットを導入しないことの費用には、今後8〜10年、同じポジションに何度も人を雇い直す費用が入ってくるかもしれません。
発生しうる人件費
- ROI算出では給与水準、病欠、保険も検討しなければなりません。
予想ROIを見極める
この通り、考慮すべき可変要素は多数あります。社内でエンジニアリング作業ができるなら、導入開始時にかかる負担額はコンポーネントへの投資1万〜1万2000(ドル)程度に収まり、そこにロボット購入またはリースの費用が加わります。この費用もその作業にオペレータを1人雇う金額を下回るケースが大半です。
経験則に基づくと、URのパレタイジングロボットの投資回収期間はソリューション全体の費用に応じますが1〜2年です。ということは、URパレタイジングロボットがユーザーの会社に価値をもたらす期間がそこから何ヶ月、何年も続くのです。生産ラインが一般的でも、かなり複雑なものでも大丈夫。UR協働ロボットとUR+のアプリケーションなら、ニーズにぴったりのソリューションが必ず見つかります。