産業用ロボットと協働ロボットの違いは?安全性やプログラミング、生産対象やコストなど徹底解説

近年、製造工場などでは労働者不足の解消や生産性の向上のために産業用ロボットや協働ロボットが大活躍しています。本記事では、この産業用ロボットと協働ロボットの違いについて解説します。設置場所や設置方法など、ポイントごとに比較しているので、どちらのロボットを導入するかで迷っている方はぜひ参考にしてください。

産業用ロボットと協働ロボットの違いは?安全性やプログラミング、生産対象やコストなど徹底解説
産業用ロボットと協働ロボットの違いは?安全性やプログラミング、生産対象やコストなど徹底解説

近年、製造工場などでは労働者不足の解消や生産性の向上のために産業用ロボットや協働ロボットが大活躍しています。本記事では、この産業用ロボットと協働ロボットの違いについて解説します。設置場所や設置方法など、ポイントごとに比較しているので、どちらのロボットを導入するかで迷っている方はぜひ参考にしてください。

産業用ロボットと協働ロボットの違い

いまや産業用ロボットと協働ロボットは、製造業に欠かすことのできない存在ですが、協働ロボットが広まったのは2013年の産業用ロボットに関する規制緩和からです。それまで労働安全衛生規則では、定格出力80W以上のロボットはすべて「産業用ロボット」とされ、危険がある場合には隔離や安全柵、囲いなどの設置が義務付けられていました。
しかし、2013年に産業用ロボットに関する規制が緩和されたことで、危険のおそれがないと判断できるなど、一定の条件を満たせば定格出力80W以上のロボットでも安全柵や囲いを設けずに人と一緒に作業ができるようになりました。これが協働ロボットです。

産業用ロボットと協働ロボットの大きな違いは以下の2つです。

  • 人(作業員)の代わりになるか
  • 人(作業員)と一緒に働くか

つまり、産業用ロボットは作業員の代わりに働くようにつくられているのに対し、協働ロボットは作業員と一緒に働くことを前提につくられていることが、2つのロボットの大きな違いです。

ほかにも産業用ロボットと協働ロボットには、以下のような違いがあります。

  • 柵・囲い設置の違い
  • 特別教育要否の違い
  • 設置場所の違い
  • 製品サイズの違い
  • プログラミング技術者要否の違い
  • 運用維持方法の違い
  • 向いている生産量の違い
  • 運用コストの違い

詳細は後述します。

産業用ロボットとは?定義について解説

TBD

日本産業規格(JIS・B 8433-1)では、産業用ロボットについて以下の条件をすべて満たすものとしています。

  • 位置が固定または移動する
  • 3軸以上がプログラム可能
  • 自動制御されている
  • 再プログラム可能な多用途マニピュレータ(ロボットアーム)である

参照元:日本産業規格 JIS B 8433-1「ロボット及びロボティックデバイス− 産業用ロボットのための安全要求事項− 第1部:ロボット」
URL:https://kikakurui.com/b8/B8433-1-2015-01.html 
※P4をご参照ください。

産業用ロボットは、製造工場などで作業員の代わりに働くようにつくられたロボットです。産業用ロボットがあれば、人の手を借りずとも加工や組み立て、検査などあらゆる作業をほぼ自動化できます。

産業用ロボットについてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

産業用ロボットとは?定義や種類、特別教育の必要性など徹底解説

協働ロボットとは?定義について解説

TBD

2013年の労働安全衛生規則の規制緩和によって、以下の条件①②を満たしているものを協働ロボットと呼びます。

①リスクアセスメントにより危険のおそれがなくなったと評価できる場合
②国際標準化機構(ISO)が定める措置を実施した場合

参照元:厚生労働省「産業用ロボットと人との協働作業が可能となる安全基準を明確化しました。(労働安全衛生規則第150条の4関係)」
URL:https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/dl/pamphlet_140115.pdf

①の「リスクアセスメント」とは、人にとって危険性などがあるかどうかを調査・分析することです。
②の「国際標準化機構(ISO)が定める措置」とは、ロボットメーカーなどがISO規格に準じた以下のような措置を講じていることを指します。

  • 安全適合の監視停止
  • ハンドガイド(操作装置)の設置
  • 速度および間隔の監視
  • 動力および力の制限

協働ロボットは、作業員と同じ空間で働くことを想定してつくられたロボットです。協働ロボットを用いることで製造ラインの一部自動化や人との分業を可能にし、さらに作業員の仕事を奪わずに安全かつ生産性の高い環境を創出できます。

協働ロボットについてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

協働ロボットとは?定義や導入メリット、産業用ロボットとの違いを徹底解説

産業用ロボットと協働ロボットの7つの比較

産業用ロボットと協働ロボットには、さまざまな違いがあります。ここでは主な違いを7つの項目に分けて解説します。

1. 柵・囲い設置の違い

産業用ロボットは、労働安全衛生規則第150条の4によって、作業員に危険がおよぶ場合には危険防止措置を講じることが義務付けられています。つまり、産業用ロボットを設置する場合には原則、人が立ち入らないように安全柵や囲いが必要です。
一方協働ロボットは、2013年の労働安全衛生規則の規制緩和によって、条件を満たしていれば安全柵や囲いを設置する必要がありません。

参照元:労働安全衛生規則第150条の4(運転中の危険の防止)
URL:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=347M50002000032

2. 設置場所の違い

産業用ロボットには安全柵や囲いが必要なため、設置には広いスペースが求められます。それゆえ、設置する場所が限られ、レイアウト変更もほぼできません。
一方、協働ロボットは安全柵や囲いが不要なため、狭いスペースでも使用可能です。また、協働ロボットは産業用ロボットに比べて小型かつ軽量なのでレイアウト変更がしやすく、設備の遊休化も防げます。

3. 製品サイズの違い

一般的な産業用ロボットは大型で重量があるので、重量に耐えられる床や可動域の広いアームに配慮した空間が必要です。しかし、その分パワーがあるので、たとえば自動車のような製品サイズが大きいものも扱えます。
対して協働ロボットは、人と同じ場所で作業することを前提にしているので、一般的な産業用ロボットに比べて小型で可搬重量もそれほどありません。そのため、製品サイズもそれなりの大きさに限られます。

4. プログラミング技術者要否の違い

産業用ロボットを動かすには複雑なプログラミングが必要であり、産業用ロボットを導入するときや導入後に動作変更する際には、豊富な知識を持つプログラミング技術者が欠かせません。
しかし、協働ロボットの場合、プログラミングが容易なので、専任の技術者がいなくても社内で対応が可能です。さらに近年では、プログラミングソフトウェアやPLCの向上により、既存のロボットやほかの機械とも統合ができます。

5. 運用維持方法の違い

ロボットは目的に応じた動きを教え込まなければ動いてくれません。ロボットに動きを教え込むことを「ティーチング」と言います。一般的に産業用ロボットのティーチングは難しく、専任の技術者が時間をかけて行います。
一方の協働ロボットは、ティーチングを容易に行える機能がメーカーによってすでに搭載されています。たとえば、ダイレクトティーチングが搭載されていれば、ロボットに直接触れて動かすことでロボットに動作を教え込めます。変更も簡単で専門的な知識やスキルがなくても運用維持ができます。

6. 向いている生産量の違い

産業用ロボットはハイパワーで動作スピードが速く、さまざまな作業を自動化できます。多くの場合、同一品種の大量生産に使われます。
対して協働ロボットは、産業用ロボットよりもパワーや動作スピードは劣りますが、プログラミングやティーチング、ラインへの組み込み後の再設置が容易なことから、多品種・小ロットの生産に向いています。

7. 運用コストの違い

産業用ロボットは協働ロボットに比べて本体価格が高いだけでなく、運用コストもかかります。ここではユニバーサルロボットの記事を参考に、産業用ロボットと協働ロボットの一般的なコスト項目を紹介します。

【産業用ロボット】

  • 機体の購入費
  • 3相電源インフラ
  • プログラミング制作・変更費用(外注)
  • アーム先端工具
  • 柵設置とガード
  • ライトカーテン
  • 赤外線センサ
  • その他

【協働ロボット】

  • 機体の購入費
  • 110Vコンセントプラグ
  • オンライントレーニング(無償)
  • アーム先端工具
  • その他

このように協働ロボットは産業用ロボットに比べて、運用コストを抑えられます。

一般的に、協働ロボットの方が扱いやすく、コストもかかりませんが、大量生産が可能な産業用ロボットの方が向いている現場も多くあります。
一概にどちらがよいというわけではなく、両者に特徴があるため、それぞれ向いている方を導入するようにすべきです。

ユニバーサルロボットの協働ロボット導入事例

ユニバーサルロボットは協働ロボットの開発と販売を行う会社です。現在、国内外75,000以上の製造現場でユニバーサルロボットの協働ロボットが活躍しています。ここでは日本の製造現場における、ユニバーサルロボットの協働ロボット導入事例を2つ紹介します。

事例1:松浪硝子工業株式会社

松浪硝子工業株式会社では、産業用ロボットによる自動化を図っていましたが、新しい産業用ロボット導入の度にレイアウト変更とプログラミングの外注に頭を抱えていました。しかし、レイアウトを変更しやすく、プログラミングが容易なユニバーサルロボットの協働ロボットと出会ったことで、作業員負担が軽減されたほか、生産性も向上しました。さらに従来型の産業用ロボットのプログラミングも内製化できるようになりました。

参照元:ユニバーサルロボット「松浪硝子工業株式会社」
URL:https://www.universal-robots.com/ja/case-stories/matsunami-glass-ind-ltd/

事例2:愛同工業株式会社

愛同工業株式会社には、慢性的な人材不足で売り上げが増えても利益率が低いという課題がありながら、コストのかかる産業用ロボット導入には踏み出せませんでした。しかし、ある展示会で運用コストを抑えられるユニバーサルロボットに魅力を感じ、導入を決意します。その結果、3年間で生産性が倍増し、いまでは作業員がロボットの動きに課題を見つけて改善することで、さらに生産性が向上するという好循環を生んでいます。

参照元:ユニバーサルロボット「愛同工業株式会社」
URL:https://www.universal-robots.com/ja/case-stories/aido-industry/

ユニバーサルロボットの協働ロボット導入事例についてほかにも知りたい方は、こちらをご覧ください。
関連記事:ユニバーサルロボット「ほとんどすべての作業を自動化」
URL:https://www.universal-robots.com/ja/case-stories/

まとめ

産業用ロボットは同一製品の大量生産に適していますが、導入には安全柵の設置や広いスペースの確保、専門の技術者などが必要です。一方の協働ロボットはコンパクトで安全柵が不要であり、プログラミングも簡単でコストも抑えられます。
生産ラインへのロボット導入を検討中の方は、それぞれのロボットの特徴を理解したうえで、自社に合うロボットを選ぶことが大切です。さらに協働ロボットでお悩みなら、ユニバーサルロボットにお気軽にお問い合わせください。

関連ページ:ユニバーサルロボット
URL:https://www.universal-robots.com/ja/contact-us/get-started/

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