Polyscope 5.4の新しいリモートTCP機能
接着、バリ取り、縫製、研磨などの多くの工程では、パーツをロボットでピックアップし、そのパーツをサンディングベルト、バリ取りツール、ミシン、研磨ホイールなどの固定されたツールからツールへと一定のスピードで動かした方が簡単なケースが多くあります。ロボットの端でサンディングベルトをピックアップし、動かすことはあまり便利なやり方とはいえません。ミシンをロボットの端に取り付け、動かすことは可能でしょうか?想像してみてください。
協働ロボットの基本的な考え方は柔軟性と使いやすさの実現のはずですが、ツールは重いものも多く、また、多くの場合ロボットとの統合用に設計されていないため、大きな設計作業やカスタマイズが必要になることがあります。
しかし、ディスペンシングについてはどうでしょうか?ロボティックディスペンシングエンドエフェクタもありますが、ロボットを使用してディスペンシングエンドエフェクタを動かそうとすると、接着ロボットの前にパーツを出し入れするための別の自動化が必要になるでしょう。マテリアルハンドリングと固定された接着ディスペンサへのパーツ提供の双方を1台のロボットでこなせるほうが便利ではありませんか?新しい、非常に使いやすいPolyscope 5.4のリモートTCP機能が導入された数例ではそれが可能となっています。
リモートツールセンターポイント(一般にリモートTCPまたはRTCPと呼ばれています)を使用すると、ユーザーは固定(リモート)TCPに対して弧を描く動きとウェイポイントをプログラムできます。これはよくあるシンプルなコマンドですが、これにより陰ながら強力な計算の魔法をかけることができます。システムはRTCPでパーツ速度を一定に保つために、ロボットの速度、加速、減速を制御する方法を計算します。RTCPなしでは、特にパーツの各端部が描く弧の周辺のプログラミングはとても困難です。非常に小さなステップと微修正で実現できますが、プログラムでは数千行にもなります。その他の選択肢には、デモンストレーションによる教示やオフラインのロボティックプログラミングソフトウェアがありますが、それらは不正確であったり、微調整が難しかったり、高価であったり、完全なプログラミング環境を学ぶ必要があったりします。RTCP機能はe-Seriesロボットに組み込まれており、これらのコマンドはプログラミングツリーに挿入されているため、機能の使用に別途の学習は必要ありません。とても正確で、動きはなめらかで流動的。それぞれの動きの間に停止や一時停止をすることもありません。
RTCP機能で作成された2つのデモをご確認ください。
最初のデモでは、ATI Compliant Deburring Blade(CDB)がワークベンチに固定されています。Robotiq 2F-85 Adaptive Gripperを搭載したUR10eロボットが、内側構造のバリ取りのためATI CDBに金属のパーツを提供します。ロボットはATI CDBに対し、一定の速度でパーツを動かします。
2番目のデモでは、ホイールサンダーがワークベンチに固定されています。カスタムバキュームエンドエフェクタを搭載したUR10eは、シートメタルを1度に1枚ずつピックアップし、外輪郭のバリ取りのためホイールサンダーにかけます。ロボットはサンダーに対し、一定の速度でパーツを動かすことができました。
このデモのプログラミング方法については、ユニバーサルロボットのサポートサイトhttps://www.universal-robots.com/how-tos-and-faqs/how-to/ur-how-tos/remote-tcp-example-sheet-metal-deburring-54588で技術情報を確認してください。手順およびサンプルプログラムファイルが提供されています。
RTCP機能を有効にするには、https://www.universal-robots.com/activate/でURロボットの登録を行い、登録ファイルを取得してください。