Universal Robots (UR) はエコシステム「UR+」を誕生させました。UR+はURのロボットアームに対応するサードパーティのエンドエフェクターやその他アドオンからなる世界初のエコシステムです。こうすることでURやURのパートナーが得意分野に集中しつつ協力や創造を進め、お客様により役立つことが可能になります。
他のメーカーならサードパーティと手を組むよりも独自のエンドエフェクター開発を選ぶところですが、URはさまざまな理由からエコシステムというビジネスモデルを選びました。
・「すべてにおいて専門性を持つ人などいない、独力で何もかもはできない」と認識している
・私たちがパートナーと作ったエコシステムはさまざまな面でお客様に役立つと信じている
・エコシステムはURパートナーの売上拡大につながり創造性も高める
・この方法によりURロボットのエンドエフェクターやアドオンの品質が最も高まる
パートナーと握手。Soft Robotics社CEOのCarl Vause氏(左)が自社の新しいグリッパー(UR認定製品)を、Universal Robots創業者Esben Østergaardに向け実演しています。
優れたロボットアームの開発は極めて困難です。そのため、URはここで卓越した技術を持ちながら同時にそれに見合うエンドエフェクターも製造するという方向性は求めませんでした。エンドエフェクターは業界や用途に応じて異なるもので、それを作る企業は具体的にどのように製品が使われ機能すべきかといった極めて専門的な知識を持っています。
こうした企業は詳細を熟知した専門家です。協働の専門家である私たちは、エンドユーザーとエンドエフェクターメーカーとの間の協働を支援することこそ自然だと考えました。URは、パートナーと作り上げたこのエコシステムはお客様にとって有用性、選択肢、安全性、使いやすさという4つの利点があると考えています。
健全で活力ある競争を作り出す
UR+のポートフォリオにはURロボットとプラグ&プレイで使える認定製品が数多くかつ幅広く揃っているため、他のサプライヤーと比べ、お客様の用途に最適なツールが高い確率で見つかります。ということは、ロボットを使った自動化の恩恵をより多くの企業が受けられ、ロボットによる生産性や品質の向上、コスト削減が実現できることになります。エコシステムという方法を使えば、同じタイプのエンドエフェクターを製造するサプライヤーが複数いることになり、1種類しか提供できない場合に比べてお客様により多くの選択肢を示せることは言うまでもありません。
選択肢があることで、それぞれのお客様が求める特定のニーズによりぴったりの製品が見つかります。
広義には、これはより活力のあるエコシステムであると言えます。パートナー同士が競い合いまだニーズが満たされていないニッチな分野を探すことで結果的に品質が向上し、全体として提供できる製品の幅が広がるのです。
サードパーティ企業はなぜUR+認定製品を開発するのでしょうか。理由やメリットは以下のように多数あります。
投資を確保する
UR+と安全性について語る際、私たちはお客様が行う自動化インフラへの投資の安全性について語っています。小規模な自動化企業は誕生してもすぐに消滅する可能性もあり、エンドユーザーの手元にもう使えない技術だけが残ることもあり得ます。こうした「長く使える能力」という安全性に加え、エコシステムが大きいことで、より多くのエンジニアが現在もまた将来に渡っても課題に取り組むことになり成功の確率も高まります。使いやすさには「より迅速に設置できること」や「オペレーターのトレーニング期間に費やす費用が少なく済むこと」も含まれます。私たちは認定ハードウェアを使ったシームレスな統合でこれを実現しました。エンドエフェクターの制御はURの制御インターフェースに完全に統合されています。URの協働ロボットはごく短時間で設置が完了し稼働を開始します。UR+プログラムならエンドエフェクターを使っても作業速度が落ちることはなく、費用のかかる複雑な手間も必要ありません。
Empowering People --- 人々が自立的に動けるよう手助けすること
協働ロボット本体と同様、UR+エコシステムの最終的な目的はお客様自身が自動化を実現できるよう手助けすることです。UR+は、企業が起業家的なDIY精神を起こして自動化に踏み出せるよう後押しをします。ビジネスモデルというよりムーブメントと言った方がいいかもしれません。そして踏み出すことで多くの場合はプラスの変化が生まれます。UR+エコシステムは、思い切って自動化を導入する企業を後押しするのと同様に、エンドエフェクターメーカーをもバックアップしています。
UR+パートナーになれば、世界のどの協働ロボットメーカー製品よりも数多く設置されたロボットの販売経路にアクセスできるようになります。現在販売されている協働ロボットの中で最も優れた製品と併用されるため、UR+パートナー製品は確実に最高の性能を発揮できます。UR+認定の段階で互換性と使いやすさは保証されているので、最高水準の顧客満足度が得られます。UR協働ロボットの設置台数は拡大の一途を辿っておりビジネスの成長も見込めます。
ニューヨーク州ブルックリンのVoodoo Manufacturing社は3Dプリンターのハーベスティング自動化をいかに省力・低コストで実現できるか、投資家に概念実証を行うため時間との戦いを迫られていました。同社は当初、他社の協働ロボットソリューションを検討していましたが、最終的にはUR10とRobotiq社製UR+認定グリッパーを選びました。ユーザーがUR協働ロボットのティーチペンダントを使って直接グリッパーのプログラムができ、シームレスに統合できることが決め手でした。
なぜ利点がリスクを上回るのか
UR+パートナーにとっての目に見えない利点に、開発者プログラムに参加することで得られる創造的なエネルギーが挙げられます。オープンにすることで生じるリスクがにあることは、私たちも認識しています。しかしそのリスクは管理可能であり、自分だけですべてをやろうとするリスクの方がはるかに大きいと考えるようになりました。UR+プログラムで提供するサードパーティのエンドエフェクターやその他製品の品質を確保するため、Universal Robotsでは実績のある認定システムを採用しています。難しいのは、理想のソリューション発明のための創造的自由を開発者に与えつつ、完全な互換性、性能、使いやすさも同時に求めることです。
Universal Robotsは、サードパーティと作るエコシステムが、お客様に完全な協働ロボットソリューションを届ける最善の方法だと確信しています。その証拠がUR+マーケットプレイスの盛況です。現在UR+認定製品は155点、UR+プログラム認定製品の開発企業は400社以上にのぼります。
この先、UR+はお客様やパートナーに新しいソリューションや機会を無限にもたらすでしょう。協働ロボットによる自動化が増え続け新たな用途が広がる中で、有用な新しいソリューションにつながるエンドエフェクターや周辺機器を開発する企業はこれからも生まれ続けるでしょう。