Close
Choose your language
4月28日は、労働災害や職業病の予防を全世界で啓発するために定められた「労働安全衛生世界デー」です。労働環境の改善と作業員の安全衛生の保護は、ユニバーサルロボットの原動力となるビジョンです。わたしたちが目指しているのは、人々がロボットの「ように」ではなくロボットと「共に」働く世界です。 わたしたちは、いかなる仕事も作業員のウェルビーイング、安全、健康を脅かしてはならない、そして協働ロボットは職場を飛躍的に改善できる、と信じています。
啓発推進の特別な日にあたり、危険な作業や重労働、反復作業や単調な作業を協働ロボットに任せたことで、人間がよりやりがいのある、怪我の危険の少ない作業に注力できるようになった5つの事例を紹介します。
「以前は身体のあちこちがひどく痛んでいました」(米国)
米オハイオ州ハミルトンにあるThyssenkrupp Bilstein社の工場では、自動車産業向けに先端技術を用いたサスペンションソリューションを製造しています。2018年、同社は作業員、特に女性に対し、身体に負担のかかる作業を減らすことを約束しました。
そこで、ワークの脱着・組み立て・製品検査といった人手不足になりがちな作業を自動化するため、工場に協働ロボットUR10を9台導入しました。協働ロボットの採用により、製造が最適化され労働環境は改善しました。
自動化された作業を担当する作業員Quenna Quarles氏はこう言います。「製造の流れがずっとよくなりました。私がチューブをロードすれば後は協働ロボットがやってくれるので、仕事が楽になりました」
E.J.Seck氏は、以前は手動でNC加工機や穴開けパンチのワーク脱着をしていましたが、今はそうした作業を新しい協働ロボットがやってくれることに満足しています。同氏はこう言います。「ロボット導入以前はドタバタでした。今では私の仕事もだいぶスッキリしています。品質検査や生産報告書に時間を使えるようになりました。空回りすることが減って集中できるようになり、作業の経過を見失うこともありません」
協働ロボットが解決した作業: NC加工機・穴開けパンチ・成形機のワーク脱着、ピック&プレース、組み立て、製品検査
事例の詳細はこちら
“以前は常に体を使って穴開けをしたりモノを動かしたりして、あちこちがひどく痛んでいました”
無理のある姿勢から作業員を解放(イタリア)
イタリア、トリノ州のフィアット社ミラフィオーリ工場では、フィアット500電気自動車の製造ラインに自動化テクノロジを導入し、一部の組み立てや品質検査でその利益を大いに得ています。利益には、製品の基準に合った品質や再現性が確保できるだけでなく、年配の工場作業員の健康を守るという側面も含まれます。
例えば、車両のドアに防水ライナーを取り付ける場面。
「ライナーを取り付けるとき、作業員はダイナモメトリックローラーで均等に圧をかけなくてはならないのですが、この作業は長くしていると腕の関節を傷め、筋骨格疾患を招いてしまいます」エルゴノミクスの専門家Giuseppe Guidone氏はこう言います。「協働ロボットには利点が2つありました。作業精度と品質の高さ、そして作業員の身体負荷軽減とウェルビーイング向上です」
ドアの組み立てラインで2台のUR10e協働ロボットが並んで作業しています。ドアが届くと視覚システムがそれを検知し協働ロボットが起動します。協働ロボットはリストに取り付けられたローラーで生地に均一に圧をかけ、ドアパネルに取り付けます。この取り付け作業は特に困難です。協働ロボットは狭い空間のなか、パネルのプッシュピンの突起を避けながら複雑なパスを経由し、水が入らないようライナーを完全に密着させなければならないからです。協働ロボットはミリ単位の精度で作業でき、± 0.05mmの反復性を誇ります。
協働ロボットが解決した作業: 組み立て、ネジしめ、品質管理、視覚検査、分注
事例の詳細はこちら
「みんなに慕われている作業員のInkeriはこの作業を30年間担当しています」(フィンランド)
フィンランド、北極圏から数キロほどの所にあるPentik社では、英国の粘土を使った食器を製造しています。陶磁器の製造は手作業です。ツールを用いて食器に釉薬をかけたり皿を形成したりするために、作業員は日に何百回と同じ作業を繰り返します。作業員の手、肩、腰に厳しい作業です。
しかし今では、UR10協働ロボットが食器の釉薬がけをしています。ロボットが、同社自作のバキュームグリッパでトレイから器を取り上げます。そしてそれを釉薬の中に下ろし入れ、浸した後は2カ所ある配置場所の1つに配置します。配置場所がいっぱいのときは、待機します。
Kaivosoja氏はこう説明します。「協働ロボットは、この作業の責任者を30年務めていた作業員Inkeriの手の動きを模倣しています」
作業員が配置場所から器を取り上げ品質を確認し、燃焼装置にくっつかないよう器の底についた余分な釉薬を拭き取ります。
協働ロボットが解決した作業: 陶磁器の釉薬がけ工程で人間の作業員を補佐、「カッリオ」プレート成形
事例の詳細はこちら
ミスは許されない、尖った部品の取り扱い(フランス)
BOOG Machining Company社は、小型で鋭利な部品の機械加工、形成、フライス加工の短期生産に特化した企業です。同社はこうした製造ツールを扱うことに起因する健康被害を回避・削減する方法を探していました。
そこに登場したのがUR5でした。扱い方を間違えれば怪我につながりうる部品を協働ロボットが扱うようになり、事故防止が図られています。
UR5を導入したことでBOOGは製造工程を最適化でき、以前なら常時モニタリングが必要だった作業も、今では従業員1人が3時間ごとにマシンへの積み下ろしをすればよくなりました。こうして解放された貴重な人材は、現在複数の作業を兼任し製造の別工程で価値向上に貢献しています。
協働ロボットが解決した作業:NC加工、機械監視
事例の詳細はこちら
騒音と粉塵まみれの作業は、もうありません。(チェコ共和国)
プラスチック成形企業のLinaset社では、かつてブラスト処理をすべて手動で行なっていました。当時の作業は作業台上のワークを特殊なブラスト剤を使って両面手作業で処理するという、時間と資源を要するものでした。粉塵と騒音に満ちた作業場で、ブラスト装置は垂直に保っておく必要がありました。人体に極めて大きな負担がかかり、環境にも悪いとみなされる作業でした。
そんなとき、幸いにもぴったりの自動化ソリューションが見つかりました。UR5です。LinasetはUR5を導入してみました。
Linasetの製造マネージャ Petr Šromota氏はこう説明します。「作業場へのロボット設置は数日ででき、安定して稼働を始めました」
協働ロボットが解決した作業: 射出成形
事例の詳細はこちら
作業員の安全と健康を守る協働ロボット
協働ロボットは、これまで人間がやっていた反復作業や危険な作業を引き受けます。それにより作業員の安全が向上するだけでなく、効率や生産性もアップします。