この記事で学べること
- パレタイジング(箱等の整列・段積み)の自動化を検討すべき理由 消費者のし好の変化、規制の変更、短くなる製品ライフサイクル・・・そのどれもが、企業に生産性の向上や安全性の改善を迫っています。協働ロボットを活用してパレタイジング工程を自動化すれば、このような目標が達成できるかもしれません。
- 協働ロボットが使えるのはどんな作業? パレタイジングに関するほとんどの作業に対応します。ニーズに合わせてカスタマイズするのも簡単です。適切な可搬重量のロボットとエンドエフェクタ、ビジョンシステムを選べば、協働ロボットはガラスのような繊細なものを扱うことも、動いているベルトコンベアからワークをピックすることもできます。
出荷に備えて大量の製品を整列・段積みするパレタイジング工程は、危険を伴う単純反復作業。これこそ協働ロボットで自動化できる作業です。一定の安全性や生産性、作業精度を保ちながら長時間こうした作業を行おうとすれば、作業員の心身には大きな負担がかかります。
協働ロボットを活用した整列・段積みは、作業を簡単で、迅速で、効率よいものに変化させます。重量物を扱うのみならず、精度や速度、複雑な動きを要する作業にも対応します。自動化が競争力強化に役立つと理解している企業は多いものの、協働ロボットでビジネス価値を高める数々の方法はまだあまり知られていないようです。そこで、今回は協働ロボットを活用した整列・段積みのやり方を簡単に紹介します。
パレタイジングの重要性
自動化は企業の収益力向上に役立つだけではありません。変わり続けるユーザーニーズや規制に適応する必要性も、ますます高まっています。急速に変化する業界の動きに歩調を合わせることは、どの企業にとっても戦略上重要な課題です。そのような場面で役立つのが、費用効率にすぐれ柔軟性もある協働ロボットです。
2つの例を見てみましょう。1つ目は社会経済的な変化が続きあらゆる産業がインフレに晒されていることで起きている、製品梱包のコスト上昇です。ほかにも輸送費の上昇、港湾の渋滞、コンテナや人手不足といった要素のどれもが、製品の梱包・輸送面でメーカーを圧迫しています。
2つ目は、製品ライフサイクルが短くなっていること。多くの企業が新製品で収益の大半を確保している状態であり、何年も大きな変更なくポートフォリオに残り続ける製品は少なくなりつつあります。消費者や顧客はイノベーションや新機能を求めています。つまり、生産速度や変化への俊敏な対応、生産性がかつてないほど重要になっているのです。
協働ロボットを活用した整列・段積みは、こうしたリスクや増大するコストを抑える有効な手段です。協働ロボットは少量生産にも大量の反復作業にも対応すると同時に、変化するビジネス環境への適応、人手不足の解消、業務コストの削減にも貢献します。
ひとつのツールで使い道はいろいろ
協働ロボットは柔軟で汎用性の高い自動化ソリューションです。従来型の産業用ロボットと比べ、協働ロボットは設置も操作も簡単。さまざまな製造工程の自動化に適しています。
ケース組み立てと梱包
シンガポールのClearpack社は梱包工程の自動化ソリューション大手として、東南アジア、中国、インド、中東、アフリカで事業を展開しています。同社はUR10ロボットと、UR+製品であるEwellix社のLIFT KITを使ったコンパクトなパレタイジングソリューションを開発しました。このソリューションにより、Clearpack社の顧客の多くが倉庫スペースの最適化を実現し、作業員は長時間重い荷物を扱わずにすむようになりました。
このケース組み立て・梱包ソリューションは、多岐にわたる産業や製造現場で活用できます。設置面積をとらず、キャスタつきなので製造エリア内で素早く移動が可能。また、オープンプラットフォームなので短時間の訓練を受けた後はお客様自身で調整できます。Clearpack社の事例詳細はこちら。
ベルトコンベアからワークをピック
ノルウェーの精肉会社Nortura社には、従来型の産業用ロボットや安全柵を設置するスペースはありませんでした。しかし同社はUR10と、UR+製品であるビジョンカメラのIFM 02D222、真空グリッパを採用し、従来型産業用ロボット設置に必要だった面積の約20%で同じ効果を手に入れました。
このシステムはパレットが前に来るとそれを検知し、動いているベルトコンベアから箱のピッキングを開始して、自動でパレタイジングを行います。製品に応じて梱包パターンを変えることも可能です。ロボット1台が1日に約1,700箱(パレット20枚分)を処理します。 Nortura社の事例の詳細はこちら。
高精度でラベリング
Prysm industries社は40年以上にわたり、オーストラリア最大の小売企業に容器を提供してきました。同社は協働ロボットを使って製品にラベルシールを正確に貼り付けています。以前は熟練作業員がこの作業を担当していました。協働ロボットは精度で勝るだけでなく、会社にとって1日あたり約500ドルの節約を実現しています。作業員は訓練を受けてマシンの操作方法を習得でき、より価値の高い作業に従事できるようになりました。詳しくはこちら。
既存ネットワークに組み込む
既存のワークフローやネットワークに効果的に組み込めるという協働ロボットの特長が、食品企業のOrkla Foods社にとっては決め手になりました。同社製品の1つにバニラクリームがあります。クリームは袋につめ、その後段ボール箱に納めます。この場合、協働ロボットにはさまざまな重さのものに軽く触れながら扱う能力が求められます。圧をかけすぎれば袋が破れてしまうからです。
同社ではUR10が自立的に働き、袋をカートンに詰めていきます。UR10は専用のカートンエレクタ、カートンシーラ、充填マシンと共に自動化ネットワークを構成しています。注目すべき点は、この施設で事前にリスク評価を行い、その結果このネットワークは常時監視する必要がなく、協働ロボットに安全機能があるため安全柵も不要とされたことです。 詳しくはこちら。
繊細な対象物を加工
イタリアの食品企業Cascina Italia社では、UR5が製造ラインで作業員と並んで働いています。UR5が卵10個入りのカートン144個を入れた箱を作ります。毎日100万個以上の卵を協働ロボットが扱います。 詳しくはこちら。
安全な職場づくりに貢献
箱等の整列・段積みは負荷が大きく反復を伴う、量をこなさなければならない作業です。まさに協働ロボット向きの仕事と言えるでしょう。世界各国の企業がこうした業務から作業員を解放し別の仕事を任せることの効果を実感しています。一定の訓練とシステムインテグレーション時のサポートを受ければ、作業員の誰もが複数のマシンを設置し監督できるようになります。大幅なコスト削減と生産性向上の可能性が明らかであれば、会社の業績にもその効果は及ぶでしょう。