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協働ロボットが製造現場に登場してから10年が立ちました。最初はグローバルな製造業者が1~2台購入して自社のイノベーションセンターに送り、生産フロアでは行えないテストを実験として行っていましたが、今や協働ロボットは世界中で、多くの分野で忙しく稼働しています。
自動化エンジニアチームを持たない小規模および中規模製造業者にとって、協働ロボットの導入は夢の実現です。これらの企業は特に労働力不足、経済的不安定さ、競争圧力に大きな打撃を受ける可能性があり、時間、人材、お金の面で大きな投資を必要としない協働ロボットの配備は、多くの企業にとって形勢を一変させるチャンスとなります。
これらの企業から多く聞かれるのは、「導入に向けて、まず何から着手すればよいか?」という声です。もちろん、各企業の状況は異なりますが、私はどこに協働ロボットを配置すべきか検討する際には、職場で働く人々を観察するように各製造業者にお勧めしています。協働ロボットによる自動化に最適な作業を特定するヒントになるからです。
作業工程の中で待機時間が発生しているところはありませんか?
次のステップに進む前にいずれかの工程の完了を待っている人がいるとしたら、それは時間とお金の無駄です。
カリフォルニア州にあるGlidewell Laboratories社では、10分間かかる切削サイクルで歯冠を製造しており、オペレータをマシンのそばで常に待機させることは現実的ではありませんでした。現在はURロボットがセルに配備されており、各協働ロボットに4台のフライス盤を操作させることで生産サイクル時間は27時間から18時間にまで短縮され、シフトあたり2人のフライス加工オペレータが不要となりました。
明らかに単純すぎて人材が無駄になっている作業はありませんか?
部品を箱に入れる、CNCマシンを操作する、1つのラインから別のラインに部品を移す、ねじを挿入する、ロータリーインデックステーブルへのロード/アンロードなどのような作業を考えてみてください。協働ロボットにもできる作業ならば、それを担当している人にはより価値ある仕事を割り当てるべきです。
台湾の射出成形企業、BTC Mold社では、URロボットにより人件費の35%以上の節約、深刻なマンパワー不足の解消、工場での労働災害のリスクの大幅削減を実現しました。作業員は、協働ロボットをプログラムして代わりを務めさせることで、完成品を梱包する際に何度も腰を曲げる必要がなくなりました。
細分化できる作業、またはサブタスクが多い作業はどれですか?
作業の退屈さを軽減させる方法として、作業のステップを一貫したモデルとするやり方もありますが、退屈な作業は小分けにしてもやはり退屈であることが多いものです。
現在、人が1つまた2つのことを行っている作業を見つけましょう。人とは異なり、ロボットは通常1つまたは2つのことに長けている「手」を使用します。ロボットにさらに作業をさせる場合には、手の取り換えが必要になることがあります。取り換えはもちろん可能ですが、コストが増加し複雑性が増します。一般的な2ステップの作業では、マシンから部品を取り出し検査しなければならないこともあります。
マイアミのCreating Revolutions社では、UR3協働ロボットがホスピタリティ産業で使われる顧客サービス用ページャーシステムの製造において複数のステップを担当しています。協働ロボットがドリル加工、ハンダ付け、シリコン分注、ライト組み立て作業を手際よく行うことで、同社は不良品をほぼゼロに、生産効率を約5倍に高めることができました。
笑顔のない作業員はいませんか?
ある人の表情やボディーランゲージが退屈、落胆、無関心を示している場合には、御社の工程に本当の価値をもたらしてくれるはずの彼らの持つ可能性を活かせていないことは間違いないでしょう。
オハイオ州ハミルトンにあるthyssenkrupp Bilstein社で、現在はUR10協働ロボットにより自動化されたマシンテンディング作業を担当していたオペレータのQuenna Quarles 氏は協働ロボットの導入を歓迎しました。「これまでは、あちこちの痛みに苦しみながらも絶えず何かを押したり動かしたりしなければなりませんでした。今は生産面での流れが大きく改善されました。チューブをロードすればあとは協働ロボットがやってくれるので、私の仕事もより簡単になりました。」と、彼女は述べています。
人々は、手を使ってどのような作業をしていますか?
人の手は、多くの非常に複雑なことをこなせる素晴らしいものです。残念ながら、ロボットはそうではありません。多くのロボットは、何かを持ち上げる時にはシンプルな真空吸引カップを用い、私たちがコップ1杯の水を持つように部品をつかむ時には2本指のグリッパを用います。現時点では、指の器用さが必要な作業は、協働ロボットによる自動化には不向きです。
オハイオ州のT&W Stamping社では、UR10を溶接セルに配備したことにより、オペレータの間で人気のない作業であった抵抗溶接機への部品のロードおよびアンロードからオペレータが解放され、より複雑な仕事に時間を使えるようになり、効率性が40%向上しました。
協働ロボットにはたくさんの可能性があります。自動化が御社の生産性向上、品質向上、コスト削減に役立つかどうかを知るには、生産フロアを歩き、作業員の作業の様子を観察してみてください。どこから、どのように着手すべきかというヒントがたくさん見えてくるはずです。
職場で人々を観察していると何が見えますか?協働ロボットにふさわしい作業と感じたのはどのようなものでしたか?