安全性に関する情報がネット上に溢れていて、どれを取り入れるべきか途方にくれていませんか? 今回の記事では道案内として役立つ、安全性・コンプライアンス関連の情報源を厳選して紹介します。
URは、ロボットの力制御技術を先駆者として開発してきました。自動化導入の壁を――文字通りにも比喩的にも――崩そうとするとき、協働ロボットが広く導入され人とロボットの協働を可能にするためには、安全性こそが鍵となり必要条件になるとわかっていたからです。
そのため、URユーザマニュアルのリスクアセスメントの項をはじめ、URアカデミーで紹介している安全性ガイダンス、URサポートで提供している数多くの安全性に関する情報源など、協働ロボットの設計段階からロボットアプリケーションの実施に至るまで、URは安全性を常に考え方の中心に据えてきました。
URのアジャスタブル安全システム(特許取得済)では、産業ロボット活用に伴うリスクを軽減できるよう、ユーザーがパラメータの範囲を調整できるようになっています。用途はマシンテンディングから組み立て、仕上げ、研磨、検品、梱包、パレタイジング、溶接まで、多岐にわたります。
パラメータには、ロボットの力・速度・パワー・運動量の制御や、軸リミットと安全境界を使った作業スペースの制御などがあります。例えばユニバーサルロボットの協働ロボットは、隣に作業員がいるときは速度を落とすことができます。低速になるため人間は接触を避けることができ、接触したとしても衝撃力やエネルギー移動は軽減されます。
URは安全性への取り組みとして、製造業にかかる各安全基準に適合することを目指しています。私たちはメーカーとして、販売業者やエンドカスタマーの皆様への情報提供に最大限の努力をしています。そのため、URは安全性認証や安全機能について情報開示に努め、業界をリードしています。
また、UR対応認証済みのハードウェアや周辺機器を揃えたエコシステム「UR+」では、さらなる安全ソリューションとして操作が容易なSICK社のパッケージsBot Stopなどをご用意しています。これは協働ロボット周辺の床が監視できる安全用レーザースキャナで、その空間への人の出入りを検知します。sBot StopはURのティーチペンダントで簡単にプログラミングできます。
ユニバーサルロボットのサポートには安全性に関するFAQや、UR協働ロボットの安全機能の使い方を詳しく紹介した「安全境界の設定」など、安全性に関する記事を数多く掲載しています。
URのウェブサイト上には、協働ロボットの安全性について学習できるおすすめページが他にもあります。
- 安全を簡単に – 協働ロボットの安全性に関する話題を総合的にまとめています
- e-シリーズ安全機能 – URのe-シリーズ協働ロボットの安全機能を紹介し、この機能をオンにすると連携する要素や制御される項目を説明しています
- 安全性に関するFAQ – 主要な情報源や協働ロボットの安全性に関する用語集にリンクしています
URパートナーや学術研究団体、外部の検査専門家、企業なども、協働ロボットの安全性について知りたいときに役立つリソースを開発しています。そのなかでも特に優れたものを見てみましょう。
COVRプロジェクト
欧州連合が出資するCOVRプロジェクト(デンマーク技術研究所、イタリア学術研究会議、フラウンホーファーIFF、Roessingh Research & Development、CEAの研究者による共同プロジェクト)は先ごろ、野心的な無料デジタルツールボックスを公開しました。リスクアセスメント、安全性指令・基準に関する情報やガイダンス、さらに協働(ロボット)導入における安全上のベストプラクティスをまとめた中心的なレポジトリとなっています。
ビギナーにとっては、COVRのデジタルツールキットはロボットを安全にプログラミングしたり、リスクアセスメントを行ったりするためのガイドになるでしょう。一方、協働ロボット経験者のユーザーには、検証プロトコルに関する情報や製造・物流・医療分野での導入事例、協働ロボットの安全性に関する最新記事が参考になりそうです。
TÜVラインラント
世界の協働ロボット安全性情報源の仲間に先ごろ加わり、歓迎を受けているのが独立検査・認証サービスの分野のグローバルリーダー、TÜVラインラントの知見です。Robot Safety: An In-depth Exploration of Categories and Standards(ロボットの安全性:タイプと基準を詳しく読み解く)と題された最新のeブックでは、製造業に関する基準と、協働ロボットの統合・利用の概要を地域別に紹介しています。
A3 Robotics
A3 Robotics社(旧Robotics Industry Association社)は2016年、協働ロボットの規格であるRIA TR15.606-2016を発行しました。TR 606には協働ロボットとロボットシステムに特化した安全要件が記載されており、ANSI/RIA R15.06のガイダンスを補完するものとなっています(TR 606はISO/TS 15066の全米版)。A3のウェブサイトには、協働ロボット安全性トレーニング、ロボット安全性規格文書など、協働ロボットに関する安全性情報が幅広く掲載されています。ロボット安全性文書には、リスクアセスメント技術報告(RIA TR R15.306)、現行のアプリケーション(RIA TR R15.506)、ユーザー要件(RIA TR R15.706)、協働ロボットを使う際の圧力および力の測定方法(RIA TR R15.806)などがあります。
安全性の検討に早すぎるということはありません。エンドユーザにも経験豊富なインテグレータにも、産業用ロボットや協働ロボットに興味がある場合はこれらの情報源がきっと役立つでしょう。協働ロボットの安全性や、コンプライアンスの原則・実践の知識が深まります。
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