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電気自動車のパイオニアであるイーロン・マスクが、自動車の製造工程において「ロボットに頼りすぎた。人は過小評価されている」とツイートしたことは、ユニバーサルロボット(UR)の理念である「人間とロボットが一緒に働く方が、人間やロボットが単独で働くよりも良い結果を生む」という事を反映したものでした。マサチューセッツ工科大学(MIT)が人間とロボットの協働がもたらす影響を調査した結果、ロボットと一緒に作業することで、作業員の無駄な時間が85%削減されたという結果が出ています。
自動車業界は、従来型の産業用ロボットをいち早く導入し、また協働ロボットも早くから多岐にわたる工程で取り入れた業界の1つです。今日では、OEM生産における部品やユニット品(組立品)の組立から車体の完成に至るまで、あらゆる生産工程において自動化が浸透しています。
自動車メーカーによる自動化への取り組みは何十年も続いていますが、国際ロボット連盟によると、2019年には協働ロボットが従来型の産業用ロボットよりも成長を遂げました。では、自動車生産におけるどのような課題が、この協働ロボット需要の伸びを後押ししているのでしょうか。
このブログでは、URの協働ロボットが取り組んだ自動車製造におけるいくつかの課題を紹介するとともに、柔軟な協働ロボットの重要性が高まっていることや、特に自動車業界からの要望に応えるべくURが開発したソリューションについてお話しします。
URの協働ロボットは、その柔軟性、省スペース、迅速な投資回収、安定した性能により、自動車製造現場での利用が増加しています。
弱点の克服
自動車製造工程の一部は何十年も前から高度に自動化されていますが、特に組立工程では、「依然として手作業に大きく依存している作業がある」URのソフトウェア・プロダクト・マネージャのヤコブ・ボム・マドセンは語ります。「URの協働ロボットの柔軟性と設置面積の小ささが自動車メーカーにとって大きなメリットとなるのは、ネジ締めのような作業です。例えば、自動車製造の多くは都市部で行われており、10万平方メートルの拡張スペースを確保することは不可能です。協働ロボットの素晴らしい利点の一つは、その柔軟性にあります。都市部の自動車メーカーにとって重要なのは、協働ロボットの設置面積が小さいことです。つまり、既存の生産ラインに簡単に組み込むことができ、台に取り付けたり、移動式のラインに搭載したりすることができます」
例えば、大手自動車メーカーのオペルは、エンジン部のエアコン・コンプレッサーにネジを締めるという身体に負担がかかる作業から従業員を解放するために、ドイツのアイゼナッハにある業界屈指の工場にUR10を導入しました。URのグローバル・プロダクト・マネージャであるフランク・クロッグハンは述べています。「これは、人が1シフト8時間もの間行うべき作業ではありません。協働ロボットは作業員の健康と安全を改善すると同時に、安定したネジ締めの作業を確保します」
一方、欧州第2位の自動車メーカーであるPSA(プジョー・シトロエン)グループは、フランスのソショーにある巨大な工場にUR10を導入し、BIW(ボディ・イン・ホワイト)の組立ラインでのネジ締め作業を行っています。この導入により、寸法測定精度の改善、作業環境の改善、並びに生産コストの削減を実現しました。
自動車メーカー向け新製品
さらなる柔軟性を提供すべく、URは顧客の声に耳を傾け、それに応じて製品を改善している、とボム・マドセンは語ります。例えば、e-Series用の新しい延長ケーブルは、e-Seriesを製造ラインに組み込む際の柔軟性を高めてほしいという自動車メーカーからの要望を受けて開発されたものです。このケーブルには、ベースフランジコネクタが付属しています。これは、ロボットの底面にあるプラグで、URロボットより柔軟に使えるように設計されています。「製造ラインにロボットを設置した場合、2つの問題が発生する可能性があります。ロボットが故障するか、ケーブルに問題が起こるか、です。新しいベースフランジコネクタは、仮にロボットが故障した場合でも、ロボットに繋がっているケーブルはそのままでロボットを取り外す事ができ、新しいロボットに交換する際に、再びケーブルを接続することができます。北米のある自動車メーカーの顧客は、このプロセスをF1のピットストップにおけるタイヤ交換と同じくらい迅速だと評価されました。
多くの自動車メーカーでは、生産ライン周辺のスペースが限られているため、ロボットを生産ラインの近くに置き、ロボットのコントロールボックスを「キャビネットアイランド」と呼ばれる離れた場所に置いています。ボム・マドセンは語ります。「限られたスペースは、作業の為に使いたいものです。コントロールボックスは実際には操作をしていないことから、車体の近くにいる作業者やその他の機器の場所を確保するために、より長いケーブルを提供してほしいという要望がありました」その結果、e-Seriesの新しいケーブル製品において、協働ロボットの導入にさらに柔軟性を持たせるための12mのオプションが新たに加わりました。
同様に、自動車メーカーはロボットを天井やガントリーに取り付けたり、スライダーを設置することで協働ロボットの作業範囲を広げる方法を探していました。URは、このような導入をサポートするために、e-Seriesのケーブルに新しい高フレックスケーブルのオプションを追加しました。「高フレックスケーブルは、指定された曲げ半径で500万回までの繰り返しの曲げに耐えられるように設計されています。このケーブルは協働ロボットの作業範囲を大幅に拡大できる効果的なスライダーの設置に役立ちます。」とボム・マドセンは語ります。
「また自動車メーカーは、3ポジションイネーブリング(3PE)デバイスをe-Seriesのティーチペンダントに搭載することを要望しました。これは、アプリケーションによっては欧州の大手自動車メーカーにとても有用であるとわかりました。さらにこの製品は、機械的にもソフトウェア的にも自然な統合をしています。そのため、URの協働ロボットでトレーニングを受けたことのある方であれば、誰でも非常に簡単に使うことができます。」とクロッグハンは述べています。
更にクロッグハンは語ります。「e-Seriesの新しいティーチペンダントやケーブルのような製品の開発は、URの品質に対する包括的なこだわりの一部です。製品開発の原点はお客様のニーズです。そのニーズを満たす製品を作り、また非常に厳格なテストを実施しています」
自動車メーカーから部品、モジュールのサプライヤまで、URの柔軟な協働ロボットは自動車業界のあらゆる製造工程において生産量の増加やプロセスの合理化、品質の向上をサポートします。ぜひURのエキスパートにご相談ください。