01 概要

　チェコの製造業 BAUMRUK & BAUMRUK s.r.o.dでは、既存の人員配置を有効に活用し生産性を上げるために、UR10を導入しました。導入により課題は解決し、従業員は繰り返し作業から解放されました。同社の製品ポートフォリオには、建設機械用の金属部品やコンポーネントの連続生産が含まれます。さらに、ŠKODAブランドの鉄道車両用のスペア部品の製造・販売を専門としています。

02 課題

　「管理から倉庫保管、製造に至るまで、さまざまな工程を継続的かつ体系的に自動化してきました。生産工程ではCLOOS製と安川電機製の7台の大型溶接機を使用し、マシンローディングではファナック製と安川電機製の3台のロボットを使用しています。これらのロボットはすべて産業ロボットであり、協働ロボットではありませんので、防護設備のある作業場で使用しています」とBAUMRUK & BAUMRUKのオーナーMartin Baumruk氏は語ります。

　小さな部品をフライス加工にローディングするプロセスを自動化する必要がありましたが、作業場が狭いため、フェンスなどの安全設備を設置することができませんでした。さらに、ロボットとオペレータの両方にフライス・センターを使用させたいので、人が常に安全にアクセスできるようにする必要がありました。

03 ソリューション

　BAUMRUK & BAUMRUKは、協働ロボットがこの課題を解決できるかを見極めたいと考えました。展示会での30分の紹介と、ベンダーの事務所での3時間のデモンストレーションの後、同社はユニバーサルロボットからのコボット購入を決めました。2台のUR10は小型部品をCNC装置にロードするのに利用され、オペレータが手動でロードすることもできます。空気圧式の2本指グリッパと追加のエンドエフェクタがコボットに装着されています。主に金属部品を扱うので、磁気エンドエフェクタが使用されています。

　URロボットを活用し、BAUMRUK & BAUMRUKの従業員は機能的な中規模のアプリケーションを2日以内に開発することができました。彼らはURアカデミーのトレーニング・プログラムで2時間のトレーニングを受け、その後8時間以内に最初のアプリケーションを開発し、次の8時間で微調整を行いました。物理的な再構築とセットアップのために、完成したアプリケーションの繰り返し実行に要したのはわずか数分間でした。

　「空気圧システムや、マシンとの相互接続など、作業場全体を設計し構築しました。外部からのサポートは受けず、特別なプロジェクト・チームも必要ありませんでした。プロジェクトには3カ月を要しましたが、すべて準備が整った後は、わずか数日後にロボットを展開できました」と、Baumruk氏は語ります。

04 メリット

　作業者は、CNC装置のそばに立って部品を供給したり、取り出したりするルーティンワークを行う必要がなくなりました。コンテナに数時間分の部品を準備し、作業状況を時々チェックするだけです。その間、作業者は他のマシンの設定を確認し、予想される異常事象を解決することができます。コボットはフェンスで囲われておらず、追加の安全防護も必要としません。URは軽量で、移動も可能で、開発中の新規タスクに対応できます。

　すべての部品をコボットで簡単にロードできるわけではないので、BAUMRUK & BAUMRUKは、ロボットによるマシン・テンディングと作業者の作業を交互に行うという柔軟性の高いURロボットのメリットも活用しています。コボットへの投資は、フル稼働、2シフト体制、人件費の削減を考慮すると、9カ月以内に回収できます。しかし、投資回収率は会社の最優先事項ではないため、URコボットから得られる主な利点は、ルーティンワークの削減と、チェコの労働市場における優秀な労働力不足の問題への対処です。