Darex
辛い作業を協働ロボットに任せ、組み立てと梱包を30%最適化
01 概要
ドリル研磨機とナイフ研磨機のメーカーであるDarex社は、体に負担がかかる反復作業が多い高速生産ラインを稼働させています。同社は、ねじ締め作業と箱の組み立て作業にURロボットを導入し、その後すぐにこの初期設備を拡充し、URインターフェースからプログラミングされた複数のワークステーションを備える本格的な自動ラインを構築しました。生産ラインシステムは、すべて社内で開発されています。
02 課題
オレゴン州アシュランドに本拠地を置く、4代目のファミリー企業であるDarex社は、人手を増やさずに製品ラインナップを拡充する必要がありました。Darex社の業務責任者であるJohn Griffin氏は「当社は、基本的に人手を増やさずにできることを増やす必要があります。」と述べ、その理由としてアシュランドが人手不足であることを挙げています。また、同社は新たな専用スペースを必要としない解決策を探していました。当時、梱包箱の組み立てと製品パッケージの箱詰めを行うステーションの自動化と、ナイフ研磨機本体のプラスチックカバーのねじ締め作業の自動化を検討していたGriffin氏は、次のように語ります。「生産スペースが狭いので、セルを別途必要としない、既存の組立ラインのスペースに収まるものを探していました。」同社は当初、箱の組み立てに製函機を使用することを検討していました。「しかし、製函機はできることに制限があり、作れる箱も限られていました。もっと融通の利くものを探していたのです。」(Griffin氏)
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03 ソリューション
Griffin氏は、多くの展示会でURロボットを目にしました。彼は当時のことを次のように振り返ります。「プログラミングが簡単そうでしたし、ロボットを販売していないメーカーもブースでURロボットを使用していました。これこそが人気ナンバーワンという印象でしたね。」協働ロボットが普及している理由の一つは、経路上で障害物に接触した場合にアームが自動的に停止する安全機構が内蔵されていることです。リスクアセスメントを実施すれば、協働ロボットは安全柵なしで稼働できます。「安全柵を設置することなく、従業員は協働ロボットのすぐ隣で作業できています。」(Griffin氏)
04 1年以内に投資回収、効率が30%向上
協働ロボットを使用すれば高価で扱いにくい安全柵に投資せずに済むため、協働ロボットは金銭面でも魅力的なものでした。「協働ロボットを購入した当初は、投資の回収に16か月ほどかかる見込みでした。」(Griffin氏)実際には1年かからずに採算が取れたことは、彼にとって嬉しい誤算でした。「効率が約30%上がりました。生産ラインに必要なスタッフが少なくて済むので、以前よりも柔軟に対応できています。スタッフを別の作業場に投入し、別の製品をラインに流せるようになりました。」同社は、以前は週に2回しか製造できなかった製品を今では週に4回製造しています。
05
ねじ締め:簡単な自動化で大きな成果
自動化プロジェクトの手始めとして、Darex社が最初にナイフ研磨機の組み立て作業の自動化に着手したことは自然な成り行きでした。「以前は、作業員がエアドライバを使用してねじ供給機からねじを取り出し、ナイフ研磨機にねじを差し込み、所定のトルクで締め付けていたのですが、この作業は非常に単調で体に負担がかかるものでした。」(Griffin氏)作業員の負担を軽減するために、同社はUR3卓上型協働ロボットを採用しました。ねじ供給機とエアドライバのセットアップは変更する必要がなく、以前との違いは協働ロボットが代わりに作業を行っているということだけでした。Darex社の生産技術管理者であるSam Jacobson氏は、本体カバーの穴の中が見えにくいため作業員がねじを入れ忘れることがあったことに言及し、次のように語ります。「UR3を使用すると、ねじの締め忘れがないですし、ねじがない場合でもすぐに知らせてくれます。協働ロボットのおかげで確実に品質が向上しました。」
06 協働ロボットが司令塔に
ねじ締め作業の自動化が成功したため、Darex社はすぐに組立ライン全体の体制を見直すことにしました。Jacobson氏は次のように語ります。「最初の自動化が非常にうまくいったため、さらなる改善を図り、空気圧プレスなどを制御する各PLCとコンベアシステムを導入し、箱詰め作業用にURロボットを1台追加することにしました。実際には、URロボットのティーチペンダントからModbus通信で各PLCを接続し、URコントローラを使用してライン全体のプログラミングと制御を行うことにしました。あっという間にプログラミングできたので、やってみて本当によかったです。」
07 箱の組み立て:UR5による一連の繰り返し動作
梱包箱の組み立てと製品の箱詰めは、ねじ締めと同様、Darex社の従業員が嫌がる、体に負担がかかる作業でした。現在は、ユニバーサルロボットの中型協働ロボットであるUR5がこの作業を担当しています。協働ロボットは、まずカセットから箱を取り出し、組み立てます。次に、組み立てた箱をステージに置き、コンベアで運ばれてくる製品パッケージ4個をつかみ取り、箱に入れます。箱がいっぱいになると、蓋を閉じ、箱を押してテープ貼り付けステーションを通過させます。
08 Darex初のロボット技術者の座をかけたコンテスト
最初に協働ロボットを購入した際に、Jacobson氏は、どうすれば製造チームのメンバーがロボットの導入に積極的になってくれるかを検討していました。また、生産ラインの専任スタッフに、ロボットの作業をすべて管理するロボット技術者になってもらうことを望んでいました。Griffin氏は次のように語ります。「そういうわけで、この小さなコンテストを思い付いたんです。従業員全員にURアカデミーのURLを教えて、ロボットのプログラミングについて学習するように指示しました。そして、URアカデミーで得た知識を使ってロボット技術者の座を競い合うコンテストに参加することを勧めました。」URアカデミーは、URロボットの基本的なプログラミングとセットアップに関する9つのインタラクティブなオンラインモジュールで構成されています。Darex社は、従業員が協働ロボットをプログラムするコンテストを数回開催しました。優勝者は、26歳のBrittany Mohrmanでした。「新しいことをするチャンスにワクワクしたので、この話にすぐに飛びついて、コンテストで優勝することを目指して精一杯勉強しました。URのトレーニングでは、各プログラムサイクル、ウェイポイントの調整、ロボット上のツール重心位置などについて学びました。前よりもずっと仕事が楽しくなりましたね。」
09 次はパレタイジング
Darex社が次に自動化を検討している作業は、テープ貼り付けステーションから出てきた箱をパレットに積み込む作業(パレタイジング)です。Griffin氏は次のように語ります。「当社の製品と箱はサイズと形状が似ているものが多いため、パレタイジングは協働ロボットの次の活用先として適しているように思います。また、従業員が頻繁に腰を曲げ伸ばしする必要もなくなります。既に構築した組立ラインと同様のラインを生産エリアに2、3増設して、他の製品でも同じ成果を上げることは難しくなさそうです。」
- 効率が30%向上
- 柔軟な生産により、製造回数が週2回から週4回に増加
- ねじ締め作業で品質向上
- 安全柵なしで自動化、ライン作業員の隣で協働ロボットが稼働
- メンテナンスが不要で、生産ラインのダウンタイムや中断が生じない
- 体に負担がかかる反復作業の排除
- 12か月以内で投資回収
- プログラミングが容易
- 高い協働性と安全性
- URコントローラから組立ライン全体を制御可能
- 箱の組み立て、梱包
- ねじ締め
- 組立ラインの制御
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