DCL Logistics
URロボットの導入により、DCL Logistics社の生産性は500%向上
01 概要
DCL Logistics社(以下、DCL)は、自社のフルフィルメントセンターの既存設備に組み込むことができ、正確にピッキングや箱詰めを行える柔軟な自動化システムを必要としていました。同社はユニバーサルロボットのUR10eを導入することで500%の効率向上、50%の省力化、3か月の資本回収期間で完納率100%を実現しました。
- 繁忙期に追加要員を雇用する必要性が低下
- 作業員をより高価値作業に再配置
- グローバルな価格競争力を確保
- 身体的負担の大きい作業を自動化
- 多品種少量生産を自動化可能
- 自社のオペレーションソフトウェアインターフェースを使用するフルフィルメントセルと統合
- 生産性500%向上
- 完納率100%
- 投資回収期間3か月
- 協働的で安全
- トラブルシューティングが容易でメンテナンスに手がかからない
- URコントローラをセル全体のPLCとして使用するため、センサー、コンベア、ソレノイド、カメラ、エンドエフェクタなどの周辺機器と容易にインターフェース可能
- 50%省力化
- フルフィルメントセルの制御、搬送システム内で商品をピック、確認して箱詰め
02 課題
Eコマース需要の爆発的な伸びは衰える気配がなく、サードパーティロジスティクス(3PL)フルフィルメントセンターが成長を支えています。DCLのチーフレベニューオフィサーであるBrian Tu氏は述べています。「私たちのD2C(direct-to-consumer)フルフィルメントソリューションはこの5年間、毎年ほぼ20%ずつ成長しています」同社は主に急成長分野の電子機器、デジタルネイティブブランドおよび医療技術機器をケンタッキー、ロサンゼルスおよびシリコンバレーの中心にあるフルフィルメントセンターを介して取り扱うオムニチャネル*ロジスティクス企業です。「D2Cフルフィルメントをより早く、大規模かつより安価に行うことの重要性がますます強まっています。」
従来は手作業中心だったビジネスにとって、労働力確保が厳しい中でこれらの目標の達成は難題です。時給が上昇し続けているため、そのコストをどこかで埋め合わせる必要があります。また、特定の時期に需要が急増するという課題もあります。DCLの約半数の顧客の売上はホリデーシーズンに集中しており、その年の売上の約40%が年末の2か月に集中しています。
DCLのチームは市販されているロボットピッキングシステムやフルフィルメントシステムを調査しました。しかし、ニーズに応じてカスタマイズできる柔軟なシステムという、同社の要望に完全に合致するものはありませんでした。DCLの社長であるDave Tu氏は述べています。「値段が高すぎるか、投下資本が回収できないか、あるいは私たちが求めている柔軟性がアプリケーションになく顧客から依頼された作業を行えないかのいずれかでした。それで私たちはこう考えたのです。『じゃあ自分たちで作ってみようか』」
ビデオ — UR10e、DCL Logistics(アメリカ)
03 ソリューション
DCLは選択肢となるロボットを調査するため、自動化チームを南カリフォルニアで開催されたATX West展示会に派遣しました。どのロボットがDCLで現在機能しているワークフローだけでなく、DCLの環境、文化、今後の計画に一番合うかを分析するためです。自動化チームは2つのセル—1つは前、1つは後ろ—から商品をピックできるよう、ロボットを中心に配置することにしていました。1,300mm超のリーチを持つユニバーサルロボットのUR10eは、DCLの要求を満たす数少ない中の1つとして際立っていました。
Brian Tu氏は述べています。「まず第1に、URロボットは私たちのニーズに合うソリューションでした。モジュール式なので段階的に規模を拡大して何が必要かを見極めることができました。第2に、柔軟にプログラムできるため、弊社のシステムへの組み込みが非常に簡単でした。第3に、今いる作業員と一緒に作業できるということが本当に重要でした。現在行っていることをロボットが補ってくれると確信できたのです」
24時間年中無休で稼働するアプリケーション
アプリケーションには箱を集め、並べ、荷積み場所まで移動するコンベアが含まれます。ロボットは6秒ごとに商品をピックアップしてスキャナまで運び、箱の中に入れます。商品に誤りがある場合、ロボットはその商品を不合格品箱に入れ、作業を一時停止することなく続けて次の商品をピックします。このアプリケーションは人の介入なしで1日24時間、年中無休で稼働するよう設計されています。
DCLの自動化エンジニアであるIsaac Toscano氏は述べています。「この自動化ラインは作業員にも恩恵をもたらしました。通常、私たちの工程では夜間の注文は蓄積されます。翌朝到着して装置を起動した作業員は、多種多様で膨大な注文が来ていることを知るわけです。作業員たちは自分たちの負担がぐっと減るので、ロボットの電源を入れて使えるようにしてほしい、といつも私たちに頼んできます」 これはブラックフライデー、つまりサンクスギビングデー翌日などの需要が急増する時期に特に顕著です。この日、URロボットは、ロボットがノンストップで稼働できるように部品を補給する少人数のチームだけで1日に最高4,400個の受注商品をピックアップしました。
04 500%効率向上と50%省力化
従来の手作業でのピッキング工程には5人の作業員が必要でした。注文された商品 を倉庫でピックする人、それをラインに運ぶ人、確認する人、キットにまとめる人および梱包して出荷する人です。
Brian Tu氏は述べています。「5人のチームが丸一日かけて行う作業を、ロボットなら2時間で行うことができます。ロボットシステムを導入することで、人件費を50%以上削減することができました」 このように、ロボットは長期的な労働力の管理という課題に対応します。これはDCLの成長にとってきわめて重要です。これまで作業員が行ってきた作業をロボットが代わりに行うと、作業員を他の業務に再配置したり、ロボット管理維持の訓練を受けてもらったりすることができます。繁忙期にも、同社はロボットを活用して増員なしで顧客のニーズに応えることができます。
投資回収期間3か月および完納率100%
Brian Tu氏は述べています。「このコスト削減はDCLの顧客にも利益をもたらします。実現したロボットシステムによる大幅な省力化で削減されたコストを顧客に還元して、より安い価格でフルフィルメントを提供することができるのです。」
Dave Tu氏も付け加えて述べています。「ロボットを使用することにより生産性が最大500%上昇しました。今のところロボットへの投資回収期間は3か月です」 Tu氏は同社が統合するロボットを増やすにつれ、投資回収期間はさらに短くなると考えています。技術の先端を行く3PLとしてのDCLの強みは他社より高い生産性、効率および正確さです。その差別化の一環としてDCLは20年にわたってISO 9001の認証を受けています。この認証を受けるには、特定の作業手順標準を満たさなければなりません。Brian Tu氏は述べています。「要するに、ロボットがこれまでの完納率と生産量を上回るか、少なくても同程度の完納率でなくてはならないということです。URロボットにより弊社の完納率は99.5%から100%に上昇しました」
05 URアカデミーとURシミュレータを活用して簡単に実装
DCLの自動化チームはURロボットのインターフェースやソフトウェアの使いやすさ、システム実装の柔軟性、そしてURのサポートの手厚さに嬉しい驚きを受けました。
DCLのシニアソフトウェアエンジニアであるWalter Perchinumio氏は述べています。「ロボットをフルフィルメントに使うというアイデアを聞いたとき、すぐに素晴らしいと思いました。ウェブサイト上のURアカデミーを見て6軸ロボットに何ができるかを学びました。そのプログラミング方法と能力を気に入ってしまい、一目惚れのようなものでした。」
Perchinumio氏はまた、URのウェブサイトで無料のアプリケーションシミュレータを見つけて嬉しくなりました。チームが組んだプログラムがうまくいくことを確信できたからです。「それを見つけたとき『やった!すべてテストできる』と思いました。 シミュレータ上のインターフェースと実際に使うインターフェースが同じなので、基本的に最初の1か月はもっぱらシミュレーションでロボットを動かしました。これが私にとって決め手となりました。」
UR+プラットフォームが認証済み周辺機器を提供
DCLの自動化チームはUR+プラットフォームとシミュレータを使ってアプリケーションに適した周辺機器を調査、選択しました。UR+製品はどれもURロボットとの統合性がテスト済みかつ認証済みなので、ロボットのコマンドを学ぶ必要がなく、ロボットとつないだらすぐにプログラムを組めるようになります。DCLはPiab piCOBOTグリッパと、複数のバーコードの同時読み取りまたは部品番号とシリアル番号の読み取りができるDataLogicカメラを選択しました。
URロボットのもう一つの利点は、ロボットをコントローラとして使用でき、PLCが不要なことです。URロボットには十分な数のI/Oポートが設けられているため、追加のPLCは必要ありません。Perchinumio氏は、コンベアの動作制御すべてをロボットに依存するスクリプトコードを開発できました。「実に簡単な作業でした」
Toscano氏も付け加えて述べています。「今では現場の機械装置すべて—スキャナ、センサー、ソレノイド、安全灯—がロボットのI/Oボードに接続されています。ティーチペンダントは非常にユーザーフレンドリです。I/Oコントローラもです。」
今後の計画:搬送システムに10~20台のURロボット
Eコマースは現在小売市場の15%に過ぎませんが伸び続けており、DCLの顧客は拡張可能かつ正確なフルフィルメントパートナーを求めています。Dave Tu氏は述べています。「私たちは今後5~10年、DCLのオペレーションの一部としてのロボットの重要性が高まると考えています。より多くのシステムを統合し、1つのロボットシステムから複数のロボットシステムへ移行しつつあります。10~20台ものロボットを保有することになるだろうというのが現時点でのビジョンです。」
*オムニチャネル:消費者が商品を購入するにあたりオンライン(Eコマースなどのウェブサイト、アプリ、メールなど)やオフライン(実店舗、チラシ、電話など)といったあらゆる接点(=チャネル)を用いて顧客体験を提供し、販売機会の損失を防ぐ戦略
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