Group PSA’s Sochaux plant in France

01 概要

　工場の能力増強と生産コスト削減を図るため、SOCHAUX工場のホワイト・ボディー組立ラインのネジ留め作業用に、2台のUR10が導入されました。その結果、コストの削減だけでなく、作業員を身体的に過酷な作業から解放し、寸法測定精度とばらつき（GD&T）も改善されました。

02 課題

　プジョー、シトロエンなどのブランドを傘下に有するヨーロッパで2番目に大きいフランスの自動車メーカーGroup PSAのSOCHAUX工場は、技術の進歩に伴い、また、顧客からの期待と市場のプレッシャーを受けて、産業プロセスの持続的な最適化に向けた取り組みを始めました。Group PSA社は、同社の「未来の工場」プロジェクトの一環として、現場の最新化や生産ラインのコンパクト化、車両原価の低減を目指していました。同グループは、オペレーターを筋骨格障害から保護し、同社の総合的な競争力を高めるため、ユニバーサルロボットに組立ライン作業の自動化の支援を求めました。

03 ソリューション

　SOCHAUX工場は、同社のフランス国内販売業者の1つであるSysaxesを通じて、ユニバーサルロボットを選びました。このロボット設備は、10,000人の従業員を擁し、年間40,000台の車両を製造する現場に設置されました。

　ロボットは、他の組立作業も同時に行うオペレーターを邪魔することなく、車両の両側でネジ留めをしなくてはなりません。最終組立ラインの設計要素技術者Cedric Grandjean氏は、次のように語りました。「当社がUR10を選んだ理由はいくつかあります。可動範囲が広くドライバーを操作できるロボットが必要でしたが、UR10はそのニーズを満たしてくれました」

　ポストに設置されたURロボットが、製造中の車両の下に移動します。2名のオペレーターがロボットを引き下ろして両側でロックすると、UR10が既定のサイクルをたどり、右側で3本、左側で3本のネジを差し込みます。作業が終わるとロボットが折り曲げられて、2個のランプが点灯し作業が正しく実施されたことを示します。その後、ロボットが回転して次のサイクルの作業位置に戻ると、次の車両が流れてきます。

　作業は一見簡単そうに見えますが、完璧に間違いなく実施しなければならない自動車製造の重要な手順です。Group PSAのSOCHAUX工場は、プロジェクトを始めるにあたり、この新しいアプリケーションが市場で唯一無二のものであることを知り、全国規模および国際的な規模で、UR10を組み込んだアプリケーション全体の特許を取得することを決定しました。

　協働ロボットは、オペレーターのそばで安全に動作します。SOCHAUX工場の設置ドライバーAlexandre Le Helloco氏は、次のように語りました。「ユニバーサルロボットのUR10は、車両のゲージによって保護されています。さらに、衝突した際にオペレーターを保護するため、ロボットの速度を下げました。」ロボット・アームは簡単にプログラミングでき、タッチ・スクリーン・タブレットを使って簡単にメンテナンスができます。

　ロボットがSOCHAUX工場に導入されたときにはオペレーターの間で若干の不安が湧き上がりましたが、オペレーターはすぐに、新しい同僚ロボットによって人間工学的な作業改善がなされることに感謝するようになりました。今では、組立ラインのオペレーターは、親しみを込めてUR10を「ジュニア」と呼んでいます。

04 利点

　Group PSAのSOCHAUX工場は、UR10がもたらした成果にとても満足しています。ワークステーションにおけるオペレーターの人間工学的作業環境と安全性が改善されました。「ロボットを導入したことで、車両原価を低減できただけでなく、寸法測定精度とばらつき（GD&T）を最大で10%向上させることができました」とGrandjean氏は話しています。

　URロボットは、事業面でも優れた成果をもたらしました。200,000台を超える製造車両のいずれにも欠陥は見られず、1年目に不具合の報告はありませんでした。Group PSAは現在、他の製造現場でもURロボットの導入を計画しています。