株式会社北上製作所
レーザー溶接とTIG溶接を一つのロボットで切り替えて業務効率改善
01 概要
株式会社北上製作所は、昭和55年3月に神奈川県厚木市で創業し、平成10年6月に岩手工場を設立。岩手県北上市に所在地を移しました。精密板金加工を軸に産業機械や食品関係機械、医療機器などの部品を製作し、現在はドラッグストアで使われるレジなども手がけています。自動化を推進していましたが、従来の機械は操作習得に時間を要していました。URロボットの導入でティーチングが容易になり、この課題を解決しました。さらにきつい作業などをロボットにより自動化でき、業務効率と職場環境の両方を改善できました。
02 課題
従業員の負担増加が課題でした。人材確保も困難な状況となっています。そのため北上製作所では、労働環境の改善や人手不足の解消、品質の安定などのため産業用ロボットなどを導入し、自動化を進めていました。しかし従来の産業用ロボットではティーチングのためのプログラミング習得までには時間がかかり、技術の継承や人材の定着などに課題を抱えていました。
Video — 北上製作所
03 ソリューション
同社は元々、一品一様の単品の製作を主に請け負っていました。
「ここ数年で、量産品の受注を増やし、2024年現在の受注量は単品4割、量産6割ほどです。量産品の製造は単品の製造と異なり、ロボットを活用できるため産業用ロボットの導入に着手しました」と江口氏は語ります。
しかし従来の産業用ロボットでは、ティーチングのためのプログラミング習得に最低半年はかかります。また、新しいロボットを導入すると、本格的に始動できるようになるまで1年近くかかるのが課題でした。
「そこで着目したのが協働ロボットです。協働ロボットを活用したシステムであれば、ダイレクトティーチングが可能で、誰でも簡単にプログラミングできます。特に、若い従業員たちが直感的な操作で使用できるのが魅力でした」と江口氏は語ります。
同社はUR5eを2台、UR10eを1台導入しました。TIG溶接に1台、サンディング用に1台、さらにTIG溶接とレーザー溶接で切り替えをしながら使うものに1台採用しました。
「元々、レーザー溶接の加工数は、あまり多くありませんでした。そのためレーザー溶接を専用機で行うと、溶接機の稼働率が下がってしまうのが課題でした。そこでレーザー溶接とTIG溶接を一つのロボットで切り替えられるようにしたのです」と江口氏は語ります。これにより、受注している仕事内容によって、ロボットで行う溶接の種類を切り替えられるようになり、ロボットの稼働率が向上しました。また、ロボットのプログラミング経験がない作業者でも、溶接工程でロボットを使えるようになったのも、業務効率の向上に大きく寄与しています。
さらに特に大きな効果を見せたのが、サンディングに使用しているロボットだと江口氏は言います。「サンディング工程は粉塵が舞い、作業環境も厳しいのが特徴です。さらに熟練工が時間をかけて作業しなければならず、業務を圧迫していました。しかしロボットの導入により、人の作業環境を改善できました。また人の手で行う作業の時間が半分以下になり、業務効率も向上しています。ロボットによるサンディングは、熟練の人の作業に比べれば少し時間がかかります。しかしロボットで作業している間、熟練の人たちが他の作業を行えるため、工場の業務効率が大きく向上しました」
同社ではこの事例を元に、今後はサンディング工程におけるロボットの導入数を増やしていく予定です。
UR5eの魅力は他にもあります。ロボットとして転用しやすい点です。北上製作所では現在、ロボットを溶接に使っていますが、今後、溶接の仕事が減ってきた場合には、ハンドリングロボットなど、他の用途に転用できるなどの対応がとれるのです。
「UR5eはロボットとしても、それほど大きくはないため、ロボット自体を移動させる際にもクレーンのような特別な道具は必要ありません」と江口氏は語ります。別の場所に持っていき、新しい仕事を直感的な操作でティーチングするだけで、転用できるのです。
「現在北上製作所の工場で働く従業員は、男女の比率が半々程度です。けれども協働ロボットを活用すれば、重たい荷物を持つような作業をロボットに任せられます。これにより従業員の男女による仕事の差もなくなり、皆が働きやすい職場が実現できます。また、そのように改善された職場環境であれば、従業員にもやりがいを感じてもらい、仕事を続けてもらいやすくなります。今後は、簡単な作業は協働ロボットに任せる量を増やしていき、作業者への身体的負担が大きい工程を減らしていく計画を立てています」と江口氏は語ります。
採用ロボット:
UR5e
UR10e
UR+
TIG溶接支援ロボットシステム Co TIG Welders
- ロボットによる自動化で人材不足解消
- 粉塵が多い作業を自動化して作業環境改善
- 業務効率向上
- ティーチングが直感的で簡単
- 溶接の種類によって切り替えができる
- 他のロボットとして転用しやすい
- レーザー溶接
- TIG溶接
- サンディング
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