LEM OPTICAL
01 - 概要
イタリアのガッリアーテ・ロンバルドにあるLEM Optical社(以下、LEM)は、有名アイウェアブランド向けに高機能アイウェアやスキーゴーグルを製造している企業です。低賃金諸国との競争、多様なモデルへの需要の高まり、全般的なコスト削減といった大きな課題に直面したLEMは、自動化へと急速に舵を切りました。今ではURロボットを4台導入し、レーザーマーキング、接着剤の分注、射出成形機へのワークの脱着に活用しています。
02 - 課題
最高級スポーツアイウェアブランドの製品を製造しているLEMは、さまざまな業務上の課題を解決すべく、協働ロボットによる自動化を決めました。これまでにURロボット4台を導入し、3つの工程で利用しています。どの工程にもそれぞれの課題がありました。
- レンズのレーザーマーキング: この工程での課題は、レーザーの焦点とシリンドリカルレンズとの間隔を一定に保つことでした。レーザービームをレンズの動きに合わせて調整しながら、表面全体にマーキングを施します。
- 水性接着剤の分注: スキーゴーグルのクッション部分には、決められた軌道に沿い、クッションの一定部分を避けながら、定められた量の接着剤を分注しなければなりません。この工程では、重量や設置面積の面でいくつも条件がありました。中二階に設置するため、重い機械は置けないからです。
- 射出成形機へのワークの脱着: 人体に負荷のかかる作業を自動化し、サイクルタイムと効率を改善することが課題でした。
03 - ソリューション
LEMは、ユニバーサルロボットの正規販売店Alumotion社の助けを得て、URロボットを3工程に導入しました。
協働ロボットを使ったレーザーマーキング
レンズのレーザーマーキングには、同じ構造のセル2つに2台のUR3を設置しています。UR3が、LEMが別途開発した真空グリッパで、ゴーグルのフレームにはまった状態のレンズを取り上げます。次にそのレンズをレーザーの下に置き、焦点からの間隔が一定に保たれるよう動かします。ブレイドがレンズの縁を巡ってマーキングを施します。マーキングのサイクルは両レンズで約3分。最後にロボットがレンズとフレームをラックに配置します。各セルには、それぞれレンズ20〜40枚を積んだラックが置かれています。
LEMのジェネラルマネージャで共同オーナーのStefano Lodigiani氏はこう語ります。「URの協働ロボットがなければこんなことは不可能だったでしょう。手作業ではレーザーの焦点との間隔を一定に保つことはまず無理です。でもURロボットは、正確さも繰り返し精度も担保しながら完璧な仕事をしてくれます。両方のセルにラックを設けたので、この工程は完全に自動化できました。作業員がする作業は二つだけ。1時間に1回ラックにレンズを補充することと、品質管理です。結果として労働力を最適化することができ、作業員にもっと価値の高い仕事を任せられるようになりました。同時に、こうした緻密な作業の精度も維持できているのです」
接着剤の分注
LEMの主力製品として、多彩なスキーゴーグルが挙げられます。この工程では、ゴーグルのフレームに取り付けるクッションの特定の場所に接着剤を分注します。製造パラメータ調節の結果、クッションは約2mmフレームからはみ出す形になります。接着剤はフレームと接する部分だけに塗布する必要があります。Stefano Lodigiani氏はこう説明します。「手作業では、この作業で繰り返し精度を維持するのは不可能でした。まったく同じ軌道を一定の速度で描かなければならないのです。そこで分注機をつけたUR5を導入し、タンクから接着剤が補給されるようにしました。これで接着剤をクッションに、毎回同じ速さで同じ軌道を描いて分注できます。均質で質の高い製品を作れるようになりました。さらに、この工程は工場の中二階で行うのですが、重量と設置面積の制約がありました。すでにスペースはいっぱいだったし、中二階に重すぎるものは置けません」UR5は20kgもないので階段の上に運ぶのもラクでしたし、設置も簡単でした」
射出成形機へのワークの脱着
3つ目にLEMが開発した用途は、射出成形機へのワークの脱着でした。スキーゴーグルのフレームを成形する成形機です。UR10が雄型を成形機の中に配置し、サイクルが終わると取り出して作業員がいる移動エリアに置きます。作業員はできあがったフレームを型から外します。URロボットには4点ピックアップユニットが搭載されています。ロボットは2点を使って空の雄型を取り上げ成形機に配置し、同時に残りの2点で成形済みのフレームが入った別の2つの型を取り出します。作業員がフレームを型から外し、次のサイクルが始まります。
Stefano Lodigiani氏はこう言います。「この工程では、2つの大きな課題を協働ロボットが解決してくれます。成形工程で扱う型はそれぞれ約1kgあり、作業員は60~70秒ごとに約4kgを取り回す必要がありました。協働作業により作業員の身体的負荷は軽減されましたし、生産速度も上がりました。プラスチック成形において、サイクルタイムは品質を守るうえでの重要事項です。URの協働ロボットがこの工程を一定の速度と圧力で進めてくれます」
04 - メリット
アイウェア業界の自動化はまだあまり進んでいません。多くの工程が手作業で行われています。協働ロボットを導入したことで、LEMでは生産性が安定し、労務管理も大幅に合理化されました。また、手作業では応じきれなかった、顧客から出される様々なカスタマイズへの要請にも対応できるようになりました。協働ロボットの活用は重要な工程の最適化にも役立ち、生産性アップや最終製品の品質向上に貢献しています。
- 高精度
- 高い繰り返し精度
- 身体の負荷軽減
- マーキングの対象物とレーザーの焦点との間隔を一定に保ってレーザーマーキング
- 決められた軌道に沿って接着剤を分注
- 一定の速度と圧力を保ちながら射出成形機にワークを脱着
- マテリアルハンドリング
- 射出成型機へのワークの脱着
- 接着剤の分注
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