MANN+HUMMEL IBÉRICA
URロボットで3つの作業を自動化。生産性の向上と、リソース利用効率の最適化に成功
01 概要
ドイツの多国籍グループMANN+HUMMELのスペイン子会社であるMANN+HUMMEL IBÉRICA社が、3台のURロボットを導入。自動車部品の製造工程を最適化することに成功しました。従来作業者が行なっていた作業の一部をコボットが担当することで、機械へのワークの投入作業の精度を向上。作業者の増員による人件費増加や、部品の過剰生産を回避しつつ、生産性を高めることに成功しました。
02 課題
ドイツの多国籍グループMANN+HUMMELのスペイン子会社MANN+HUMMEL IBÉRICA社は、自動車業界および一般産業向けのフィルターおよびプラスチック製技術部品の分野を、その高品質な製品によってリードしている大手メーカーです。本拠地はスペインのサラゴサ。750人の従業員を擁し、スペアパーツ販売代理店数社を大口顧客に持つほか、自動車メーカー数社と取引があります。
製造プロセスの改善に取り組み続けている同社にとって、製造ラインの自動化は積極的かつ重点的なテーマです。サラゴサ工場のプロセス・エンジニアリング部門で責任者を務めるIñaki Calavia氏は、自動化によって「明らかにコストを削減できるだけでなく、生産性の向上を通して競争力を強化することで、市場リーダーとしての地位をさらに盤石なものにすることができます」と述べています。
同社ではかつて、一部の組み立てセルで、製造工程の能率を高めて需要増に対応しなければならないにもかかわらず、人員を増員できないというケースが何度かありました。プロセス研究開発エンジニア兼技術者のHervé Serrano氏は次のように語ります。「つまり、最短期間で生産性をいかに最大化できるか、という単純な問題ではなかったわけです。私たちは、ソリューションを現場作業者と連携しながら稼働させ、作業者1人ひとりの生産性を高める目的で自動化を使っています」。
ビデオ — MANN+HUMMEL IBÉRICAのUR10ロボット(スペイン)
03 ソリューション
MANN+HUMMEL IBÉRICA社のチームは、周辺地域でユニバーサルロボットの販売代理店を務めるVicosystems社のサポートを受け、同社初となるUR10を使った3種類の協働型作業を開発しました。
これら3種類の作業を組み立てセルと連携することで、ワークの送り出しが自動化されます。UR10は、作業者が手作業で部品を置くのが難しい工程や、作業者が正確なタイミングで部品を置くことが要求される工程の場合に、作業者と協力しながら稼働します。
作業 1: 溶接機へのワークのセットと取り出しをセル内で同時に実行し、遅延時間を短縮しました。UR10を追加すれば、作業者1人で実施していたときは16秒かかっていた機械へのセットと取り出しを、ジャスト10秒で完了できます。
作業 2: この作業は当初、同社の顧客による要望に基づいて組み立てセルに作業者1人を割り当てることで、問題なく稼働していました。その後顧客の要望が変化し、生産性をさらに高めることが必要になりましたが、作業者を2人に増やすほどのレベルではありませんでした。その解決策としてロボットが1台追加されました。このロボットは、溶接機から検査機にワークを移し、部品の処理が完了するまで待機し、処理が完了したら機械から取り出して、作業者が待ち受けているまさにそのタイミングで、作業者にワークを直接手渡しします。
作業 3: 要求される生産量を作業者1人では達成できないものの、過剰生産のリスクから作業者2人にすることは不可能ということが事前に判明していました。このためチームは、ロボットの利用を前提に作業を設計しました。2台の機械間の部品の移動を、作業者1人とUR101台で協力しながら実施するスケジュールを設定しました。これによって要求される生産目標を達成できました。
プロジェクト開始当初の販売代理店Vicosystems社と、現在の販売代理店SEA Zaragoza社のコメントを紹介します。「自動化の問題を抱えていてすぐにでもソリューションを決めたいとMANN+HUMMEL IBÉRICA社のチームから相談されたとき、私たちは迷わずユニバーサルロボットをお勧めしました。導入にかかる時間は最小限で、ちょっとしたトレーニングを受けた直後から、彼らはもう独自の用途を自分たちで設定できるようになっていました。これは、フレキシブルでシンプルなURコボットならではの光景です。私たち自身も、このプロジェクトをサポートできたことを嬉しく思います」。
URコボット導入の大成功を受け、MANN+HUMMEL IBÉRICA社ではすでに他の工程へのコボットの利用拡大を検討しています。具体的には、検査作業や部品の梱包等、人間の作業者が行うことで特段付加価値を生まない作業での利用です。早速、新しい梱包作業の開発と同時進行で、ROBOTIQ社グリッパー2F-140を取り付けたUR10のテストが行われています。
- 需要増に応じて生産量を引き上げ
- リソースの利用効率を最適化
- コストを削減
- 真の協働作業を実現
- 簡単に設置、プログラム、操作できる
- 既存の工程にスピーディに統合できる
- 機械へのワークの投入
- 工程間のワークの移動
今日すぐにでも使い始める
コスト効率が良く、安全で柔軟性が高い協働ロボットすなわちコボットは中小企業であっても今だかつてないほど簡単に自動化を実現します。