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三恵工業株式会社
協働ロボットの導入で組立ラインの省人化を図る
概要
滋賀県栗東市で自動車のサスペンションとステアリング部品を製作する三恵工業株式会社は、競争力強化に向けた生産性の向上が課題でした。人が作業する組立・部品付ラインは、作業者の習熟度次第で仕上がりにばらつきが生じます。そこで、自社でプログラミングが完結し、安全面も配慮されたURロボットの導入に着手。組み立て機へのワークの投入にUR10eを使用し、再現性のあるサイクルタイムで生産性の安定化に成功しました。協働ロボットの有益性を身をもって実感できたことで、更なる省人化を目指します。
導入による変化
課題
人による組立作業は、熟練者と新人では作業時間や仕上がりの品質に差がありました。社内では過去に産業ロボット導入も経験しましたが、扱うには専門的知識が必須でSIerの関与が不可欠なレベル。また、産業ロボットは完全柵で囲む必要があり、スペースの限られた今回の工程へ組み込むにはハードルが高過ぎました。
ソリューション
取締役 生産技術部長 山根 宏樹氏は振り返ります。「過去に導入した産業ロボットのシステム構築は全て業者にお任せでしたが、自分たちである程度の設定や配置転換などが行えるようになりたかった。自社内で設備を構築できれば、すなわち生産技術としてのスキル向上にも繋がります。URロボットではない他の協働ロボットメーカーも検討しましたが、どのメーカーも最初はSIerが必要とのこと。それに対しURロボットは自分たちでシステム構築が可能だったことが決め手となりました」(山根氏)
速い人で20秒、遅い人なら30秒の時間がかかっていた工程に対しURロボットを導入した結果、1サイクル25秒という作業時間の一定化に成功。さらに品質も安定しました。人による作業が半分削減できたことで、0.5人分の省人化を確立。ゆくゆくは2ラインを2台の協働ロボットと1名の作業者で再現できるように検討中です。
今後、超高齢化社会を迎え、人材獲得の更なる困難が予測される製造業界。人材不足を補い、「省人化、活人化」させるために自動化はより必須となるでしょう。
“URロボットではない他の協働ロボットメーカーも検討しましたが、どのメーカーも最初はSIerが必要とのこと。それに対しURロボットは自分たちでシステム構築が可能だったことが決め手となりました”
自動化をいかに実現したのか
Video — どのように協働ロボットによる自動化を実現したのかを視聴する
組み立て機へのワークの投入にUR10eを使用。周辺機器とはPLCを介し有線のI/O接続で連携しています。
具体的にはカシメ工程のプレス機・作動検査機・グリス塗布機へワークをセット。オペレーターがワークを置き、協働ロボットが搬送。各機械で「ある・なし」のセンサーが反応し、自動運転がかかる仕組み。各機械による工程が終わると協働ロボットがワークを受け取り、次工程へ運びます。
各専用機とPLCが繋がっており、PLCより順次ロボットへ動作指令を出します。
ロボットアーム先端のグリッパー部分には、Robotiq社の「Hand-E」を採用。電動で稼働できるためエア配管を必要とせず、シンプルで扱いやすい仕様です。
ティーチングペンダントからの設定も簡単で、自分たちで扱いたいとの要望がまさに叶えられた形になっています。
ロボットシステムを構築した生産技術課 課長 馬道 貴之氏は語ります。「導入決定後、URが提供するコアトレーニングを受講しました。デモ機を操作しながら2日間実技トレーニングに励み、扱い方を充分に学習したおかげで、導入から約3カ月でロボットを現場に投入、稼働させることができました」
省人化を実現する上で徹底した「安全性」への取組み
「最も力を入れたのは安全性の確保です」と馬道氏は続けます。
「まず安全柵を協働部分以外に設置し、加えて協働部分からのリスクアセスメントとして安全機器であるエリアセンサを3つ配置しました。
その3つは、2台のレーザースキャナーと1台のライトカーテン。レーザースキャナー1台目は人が近づくと減速し、万が一接触した際には安全に停止させます。レーザースキャナー2台目は、「非常停止」を担うため、ロボットの可動範囲内に人が介入すると自動で「運転準備」まで落とします。ライン内に人が取り残された状態で「運転準備」を入力しようとしても、動作はできません。3台目のライトカーテンは、協働作業エリアにおいてライトカーテンが反応すると「一時停止」し、直ちに安全を確保します。
「当初のサイクルタイムは目標25秒に対し、50秒もかかっていました。そこで、ウェイポイント間を曲線でつなぐブレンド機能や動作の軌跡を変更するMOVE Pを用い、アームの軌跡を最適化。人との協働部分では段階的な減速を採用し、それ以外では比較的高速な動きをさせることで、更なるサイクルタイムの削減に努めました。同時に人が介入しない高速動作の範囲に柵を設けることで、サイクルタイムの最適化と安全面への配慮を徹底しました。」(馬道氏)
協働ロボットの有益性が更なる省人化を想起させる
三恵工業株式会社の省人化・活人化の夢は膨らみます。「現在、人が行っているばら積みピッキングなども自動化し、一工程での完全自動化を実現したいです。また、パレタイジング工程の自動化にもチャレンジしてみたい。最初は自分たちに扱えるか不安でしたが、実際使ってみるとかなり簡単で扱いやすかった。まずはトライしてみることが大事だと痛感しました」(馬道氏)
- 生産性の向上に成功
- 品質の安定化を実現
- 社内技術力の向上に成功
- ロボットシステム構築をSIerに頼ることなく自社で実現可能なこと
- カシメ工程のプレス機・作動検査機・グリス塗布機へのマシンテンディング
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